映画感想文「ジョン・レノン失われた週末」ジョンと暮らした日々。温かく切ないドキュメンタリー
そこにあったはずが、いつの間にか消えてしまう。
泣き叫んでも縋っても戻らない。真実だったはずなのに、なぜ?
そんな熱情の終焉をほとんどの人が経験しているはずだ。
ジョン・レノンの愛人だった女性メイ・パンが語る失われた週末、彼との1年半の愛の物語。
どうせ売名行為だろうとか、愛人だっただけなのにそこに愛があったと主張するなんてみっともないとか。
観る前はそんな風に思ってた。
だけど、映像と写真で映し出されるジョン・レノンの笑顔はどれも輝いてた。プライベート写真に映る2人はリラックスしてて、とてもいい顔だ。
そこに愛があったのだと悟る。その後別れてオノヨーコの元に帰っていったとしても、その時に彼にとって彼女が必要であったことは確かなのだろう。
当時20歳前後だった彼女。若くてキラキラしてる。そして愛を受け無敵に輝いてる。その様がとても美しくて、泣けた。
スターの話でありながら普遍的な物語となり胸に迫る、ドキュメンタリー映画である。
彼女は誇らしげに語る。ジョン・レノンと長年疎遠だった息子ジュリアン。彼らを会うように仕向け、結びつけたのは自分だと。彼女と暮らしていた時期にに父と息子は絆を深めたという。3人でディズニーランドで遊ぶ映像も出てくる。とっても楽しそうだ。
大人になったジュリアンも語る。彼女達は大切な友人だと。彼の母、ジョン・レノンの初めの妻のシンシアとも亡くなるまでずっと親しくしていたという。
人は出会うべき時に必要な人に出会う。そんなことを思った。
そしてオノヨーコの発言とされる数々が常人には理解できず、色々な意味で恐ろしい。同時にこの映画に反論せず、沈黙を守る彼女にある意味の懐の広さも感じる。
様々な女性を愛し愛されたジョン・レノン。
温かく切ないストーリー。とても良いドキュメンタリーである。おすすめ。
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