映画感想文「南瓜とマヨネーズ」臼田あさ美と仲野太賀で同棲中&共依存な男女を描く快作
うん。こういう組み合わせ、いる。
ある意味病気とも言える、共依存な関係。そして絶対に長続きしない。
毎日家でうだうだモラトリアムしてる元バンドマンのセイイチ(仲野太賀)。身体を売ってまで彼に尽くす同棲中の恋人ツチダ(臼田あさ美)。
こんなやり方では幸せになれない。わかってるはずなのに。それにこれは最終的には男をダメにする。だけど現実にはこういうケースはよくある。
異常なくらい人に尽くすことで自分の人生に蓋をする。自分の人生に向き合わない。それは大変そうに見えて実は、むしろ楽なことでもあったりする。体よく「逃げる」。その証拠にツチダの毎日はセイイチに尽くすこと以外、全て行き当たりばったりの支離滅裂だ。
こう言いつつ、他人事ではない。自分もいつかそんな沼にハマるかもしれない。妙にリアルでとても切なかった。
そして共依存は、どちらかが先に抜け出すと破綻する。そんな様もあるあるで、限りなく切ない。
仲野太賀が歌うまくてびっくり。音程というより情感をのせるのがうまい系、さすが俳優の本領発揮。ラスト近くの自作曲はマジで泣けた。
本当に器用な人だ。
そして、途中出てくるオダギリジョーが良かった。ちょっとコミカルな感じもある、どうしようもないダメ男役。こういうのやらせたら天下一品だ(個人的には「湯を沸かすほどの熱い愛(2016年公開)」での宮沢りえの旦那役の演技が好き)。それはもはやある意味国宝級で。あー、こういう人もいるよなーと笑えた。
7年前の劇場公開。リバイバル上映してて初見。
新作でなくとも、やっぱり映画館で観る映画はいいなー。こんな風に、思わぬ作品に出会えるのも嬉しいサプライズだ。