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映画感想文「室井慎次 敗れざる者」踊る大捜査スピンオフ企画。30年後も奮闘する室井管理官に涙する

懐かしかった。

いまさら古くさいかも。と思って躊躇していたが、自分自身古くさいのか、作りがうまいのか、なかなか面白かった(たぶん両方!)。

当時テレビで熱中して映画版も観に行った「踊る大捜査線」シリーズ。そのスピンオフ企画で柳葉敏郎演じる室井慎次管理官が主人公。

相変わらずの柳葉敏郎。演技が上手いわけではない。が、それでも無口で不器用。眉間に皺を寄せる独特の顔芸。の演技はベタだが、キャラクターとも相まってそれはそれでありだった。

警察組織の改革に挑んできた室井。しかし様々な内部改革に立ち向かったものの叶わず、定年を前に自ら退職。故郷の秋田に戻り山奥の村で隠遁生活をスタートする。

廃屋を修理して住み、畑を作り自給自足の毎日。そして親が殺害されてしまったり、刑務所に入っていたり。そういった事件の被害者加害者の子供を引き取り里親として育てている(余談だが、引き取られた子供の1人、「カラオケ行こ!(2024年公開)」で主演した高校生役齋藤潤の演技がとてもよかった)。

そんな静かな毎日に突然やってきた死体遺棄事件。それは30年近く前に室井が操作した事件に関連していた。それにより捜査に巻き込まれる室井。そこで一気に懐かしい面々(筧利夫と真矢みき演じる、同僚役の新庄や沖田)も登場する。

冒頭から懐かしいテレビや映画の名シーンが次々と登場。往年のファンはそこでうるうる。未見の方にもなんとなく、あー、そういう背景ね。がわかるような仕掛けになってる。

でもそんなことよりも当時の若々しくアグレッシブルな室井の姿を見て、自分自身の人生も重ねてしんみりした。若い頃の夢や無謀な決意。それは叶わなかったものも多い。なにしてきたんだろう?でも一生懸命やってきたよな。どうすればよかったんだろう。という忸怩たる思い。そして、それでもまだ諦めてないよ。という熱い想い。そのふたつがないまぜになり、複雑な感情に囚われた。

この映画、制作は当時の面々が手掛けてる。プロデューサー亀山千広、脚本君塚良一、監督本広克行。よって歳を重ねた彼らからの当時から30年を経た人々はの応援歌の趣も強い。

往年のファンにはたまらない作品となっている。きっと11月に公開される次の作品も観るだろう。

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