映画感想文「ランディ・ローズ」25歳で夭折した伝説のギタリストのドキュメンタリー。ひたすら切ない
真実は小説よりも奇なり。
しみじみそう思った、あるギタリストのドキュメンタリー映画。
ロックには疎い。従って「25歳で夭折した伝説のギタリスト」ランディ・ローズのことは全く知らなかった。
才能に恵まれ、幼い頃から公園でギターを奏でればあっという間に沢山の人が集まったというカリスマ性。
オフにも、もっと上手くなりたいと練習を重ね、更にクラッシックも学んでいたという向上心。
70年代の米国において、大麻を楽しむ友人に早死にするよと忠告していたという親切さと真面目さ。グルーピーに目もくれず1人の女性とだけ付き合った品行方正さ。そして、クールでキュートなそのルックス。
誰もが才能と人柄を褒め称え「光のような存在だった」と語る、存在感と輝き。
キャリアのスタートはバンドに恵まれず折れた時期もあった。だが、オジー・オズボーンに見出され22歳で華々しくデビュー。才能と才能のコラボ。そしてあっという間に時代の寵児に。
しかし、その期間はわずか3年。大成功のツアー中に飛行機事故で死去。
こんなに切ないことがあるだろうか。
スターの階段を登り始めたところて起きた突然の悲劇。まるで小説の中のことのように、現実感がない。
そして、悲しみと共に怒りの感情が湧き起こる。
なんの死角もない彼にこんなことが起きるなんて、と。理不尽な生と死の境界線を前に、言葉を失う。
何度か涙腺が緩みそうになるくらいに、残された者たちの言葉がリアルに彼を表してる。なかなかよくできたドキュメンタリーであった。