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映画感想文「推しが武道館いってくれたら死ぬ」自分に自信のない時に。背中を推される映画

隣の芝生は青い。

いつだって、そうだ。

他人が持ってるものが圧倒的な輝きを放ち、その前に羨望と自虐を重ね、怖気づいてしまう。

冷静に考えれば、自分にだって良いところはある。なのに、その個性が弱みにしか見えない。

自意識の過剰もそこに拍車をかけ、思春期はそんなことの繰り返しだ。

それなのに、彼女たちは違った。

岡山の地下アイドルを応援する、フリーターえりぴよさんの推し活模様を描く、テレビアニメ化もされたコミックの実写版映画。

彼女が推してる舞菜は7人グループの中でいちばん地味で内気であまり人気がない。しかし、だからこそ、握手会の列も短いそのマイナーさをなんとかしたいと、世話好きのえりぴよさんの心に火がつく。

何といっても、グループ7人それぞれの個性が確立されてることに感銘を受ける。

優等生お姉さんキャラ、みんなの彼女キャラ、3枚目キャラ、空気読めないキャラ‥わかっちゃいても、こんな自分を受け入れたくないとかあるだろうに、みんな自分のキャラから逃げず、徹底的にそれを強化することに邁進してる。

そして、自分にしかない個性をより打ち出した者が売れていく。

舞菜もまた、えりぴよさんに応援されることによって自分の個性を悟りはじめ、一歩一歩メジャーへの道を歩み始める。

なるほどね。

アイドルとは、自分の持ってるものをかき集め、覚悟を持って磨き続けることができる人がなるもんなんだね、としみじみ悟る。

美しい容姿ではない。歌や踊りの技術でもない。何より必要なのは、アイドルになる覚悟である。

夢に向かってまっすぐ全力投球な彼女たちはキラキラ輝いてた。もうこれは、スポ根の世界だ。

そして、えりぴよさんを演じる松村沙友理のはっちゃけた演技もすごい。彼女もまた覚悟を持って演じてるのが清々しい(と思ったら、元乃木坂46のメンバーだった。そりゃ、覚悟半端ない)。

登場人物は皆、優しく温かい人ばかりで癒される。そもそも誰かを応援する気持ちは邪悪さとは無縁で、尊い。

原作未読。ドラマも観てない。口コミ評価高いので観に行ったら案外良くて、ほろりとさせられた。

前向きになりたい時におすすめしたい映画。

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