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映画感想文「ドライブ・イン・マンハッタン」主演2人がタクシーの中で繰り広げる会話劇
車の中は魔法の空間だ。
独特の親密感を生む。だから、ドライブ中は普段話せないことも話しやすい。
更にタクシーであればそこに「二度と会うことのない人だから」というのもついてくるから、尚更それが加速する。
だから、空港からマンハッタンへとタクシーに乗った若い女性(ダコタ・ジョンソン)が、渋滞に巻き込まれて進まぬタクシーの中で、運転手(ショーン・ペン)と会話を重ねて親密になっていく様に妙な説得力がある。
そういえば、私もむかし、家族にも友人にも話せないことをタクシーで話したことがあったっけ。
ありだよね、と思う。
だだね、これ日本人的な感覚で言うと「セクハラでは?」というレベルの会話のオンパレードなのが問題である。ついつい、ひやりとしてしまい、おしゃれな会話劇を堪能しきれなかった。
さすがに、それはなくないか?と感じたことが多々あった。お国柄の違いなのか。
ショーン・ペンの執拗ないやらしい発言や、それに応じるダコタ・ジョンソンのおいおい、おまえもかよ的なしょうもない切り返しトークや所作がポルノ映画ちっくで引いた。
それでも本作の主演2人の演技は素晴らしかった。ショーン・ペンの年輪の滲み出る渋い演技はさすがの重厚感だし、度重なるアップに耐えうるダコタ・ジョンソンの美しさとカッコ良さは賞賛レベル。
よくできた映画であることは確かである。