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映画感想文「バーナデット ママは行方不明」泣き笑いであっという間の108分

気がついたら、頬を涙が伝っていた。

努力してるのに、浮いてく。全てが裏目にでる。ああ、ここは私の居場所じゃない。

そんな思いを持ったことのある人なら、大いに共感できる映画。

シアトルに住む裕福な主婦のバーナデッド(ケイト・ブランシェット)は満たされない。社会の成功者で自分を愛してくれる夫、親友のような娘、自由な時間を持ちながらも、高級住宅地の隣人たちと馴染めず、鬱屈とした日々を送っていた。

かつての彼女は、若手建築家として世界の注目を浴び、思うままに生きていた。目の前には可能性が開けていた。だが、ある挫折と待望の出産をきっかけに、家庭に入る。

自ら望んだ選択であったが、いつの間にか、窮屈になっていたことに気付いてしまう。

天才でもなく、主婦でもない私だが、ひとりの不完全な人間として共感ポイントが満載であった。

何度か登場する、シンディ・ローパーの名曲「Time after Time」がストーリーにぴったりで胸を打つ。

ともすれば重いテーマをユーモアに包み、軽快に語るケイト・ブランシェットの演じ手としての力量が凄すぎる。泣き笑いであっという間の108分。

雄大な南極の景色の素晴らしさに癒される。

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