映画感想文「オアシス」渇きが大きいほどオアシスの存在は重要。切なさ溢れる幼馴染3人の物語
オアシス。
この題名が沁みる。
裏ぶれた街で育った、幼馴染の3人。
家庭も複雑で幼い頃から頼るものは自分しかいなかった。不幸と呼ぶには忍びない。でも一般的には不幸な育ちとカテゴライズされる彼ら。
ここで育った子供はヤク中か暴力沙汰で刑務所に入る。そんなスラム街の掟のように、この日本においても生まれた場所から抜け出すことは、相当に難しい。
そんな切ない現実。
長じてやはり、少年2人は暴力団の構成員となり、少女も似たような暮らしをする。そして、子供の頃に親友だった3人は散り散りになってしまう。
清水尋也と高杉真宙。クール系と甘い系と、タイプも異なるイケメンふたりのやるせない目線やため息に心を持ってかれる。ともに絵になるし演技うまし。
そこに、伊藤万理華がアクセントをつける。目が離せない吸引力のあるキュートさを持った女優である。
幼い頃の思い出、3人で過ごした日々はほんの束の間の彼らにとっての大切なオアシスだった。それがわかるシーンが多い。物語が進むにつれ彼らの渇きがどんどん見えてくる。見えれば見えるほどに、オアシスの存在の大切さに胸打たれる。
細かいツッコミどころはいろいろあるが、伝えたきことは伝わった。なかなか見所ある作品であった。彼ら3人の出演作はこれからも観たい。