映画感想文「罪と悪」少年の物語はなぜいつも胸の痛みを伴うのか
良いものであるほど、思い出は呼び起こす度、痛みを伴う。
失われた時は2度と戻らない。その喪失感から、甘い記憶に苦さが混じる。
そんな映画だ。
大きな川の流れる地方都市の街。中学の同級生の少年4人、春、晃、朔、正樹。
それぞれ家庭に問題があったり、様々な事情を抱えながらも、長閑な田園風景を自転車で走り、じゃれあい無邪気に子供らしく過ごしていた。
そんな彼らを突然襲う不幸。
子供でいられなくなった時、更なる不幸の連鎖が起こる。辛いことがあった時、人は記憶を封じ込める。
会うことのない彼らが20年後に再開した時。過去の事件が再び蘇る。
高良健吾、大東俊介、石田卓也、の3人が大人になった元少年を演じる。高良健吾はこういう影のある役がよく似合う。それぞれ役を好演。
しかし、この手の映画を観ていつも思うのは、普通に大人になるということがいかに難しく尊いことか、ということである。
子供が子供でいられるように。まともな大人になれるように。それは大人の責任だとしみじみ思う。
そんな余韻を残す映画である。