映画感想文「ベルナデット 最強のファーストレディ」華やかな81歳、何を演じてもカトリーヌ・ドヌーブってのが凄い
華があるとしみじみ思う。
この人ひとりで最後まで画が持つ。
今年81歳のカトリーヌ・ドヌーブ。この年齢で立派に現役なことが本当に素晴らしい。演技派というより、あまりにも本人のキャラが立っているため、「何を演じてもカトリーヌ・ドヌーブ」に見えてしまう、というキムタク型の女優である。
そんな彼女の存在感を存分に活かした作品。
主人公は、フランスのシラク大統領夫人のベルナデット・シラク。
散々と内助の功を発揮したのに、念願の大統領になった途端、夫からも側近からも蔑ろにされる。その扱いに、彼女の尊厳はめっためったに傷つけられる。
確かに、彼女はメディア受けしなかった。時代遅れのシャネル・スーツ。場を読まない自由な発言。など、減点要素満載。
それでもそんな扱いをされることに甘んじなかった。
決して諦めない。どうやったらダイアナ妃のように人気者になれるか考えに考えた。そして自分に足りないものを補おうと、参謀と共に必死に策を練る。
その姿は時に滑稽だ。それでも「自ら変わろうと努力する老婦人」の姿に、少しだけ胸が熱くなる。
要するに夫や娘や世間から蔑ろにされていた年配女性が、一念発起して自分を変えて世間から見直されるまで、を描いてる作品だ。
それでいてこの手の映画に良くありがちな、力みはゼロ。随所にウイットに富んだ風刺が効いている。93分という尺の短さもあり、クスクス笑いながら見ることのできるお気楽映画である。
ある意味ホッとする、なかなか素敵な作品である。