映画感想文「ピンポン」22年前のリバイバル上映で初見。脚本と演じ手が秀逸
才能か努力か。
スポ根ドラマによくある永遠のテーマ。これを取り上げてる作品。対象となるスポーツは卓球だ。
松本大洋原作の実写映画化。2002年公開だから、22年前の作品になる。
卓球に情熱を傾ける高校生たちの熱い青春を描く。主演は当時「池袋ウエストゲートパーク」で人気沸騰中、飛ぶ鳥落とす勢いだった窪塚洋介。そして当時はまだ売り出し前、モデルから俳優に転じたばかりの井浦新。
共に卓球に取り憑かれた幼馴染の少年達。それぞれ、卓球への向き合い方が異なっており、それが大変興味深い。
子供の頃から卓球少年だったペコ(窪塚洋介)。卓球が大好きで卓球をしてる時が一番楽しい。彼にとって卓球は遊びの延長、ワクワクするワンダーランドだ。
一方、泣き虫でいじめられっ子で幼い頃からいじめられるとペコに助けられていたスマイル(井浦新)。誰より才能溢れる彼にとって卓球は人生の暇つぶしでしかない。
そこに加わるのが卓球愛も才能も待ち合わせない努力家、同級生のアクマ(大倉孝二)。才能の代わりに圧倒的な努力で他を凌駕しようと、生活の全てを卓球に捧げ邁進する。
何かに似てると思ったら、同じくコミックからの実写化である、「ブルーピリオド」だった。絵画か卓球かの違いはあるが、あるテーマにおいて高いレベルで切磋琢磨する若者たち、というのは同じだ。
脚本は宮藤官九郎。陳腐ともいえる使い古されたテーマを、飽きさせない展開で畳み込む技が凄い。
出演者では、同級生役の荒川良々、彼らが幼い頃に通っていた卓球場のおかみ役の夏木マリが印象に残る。