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映画感想文「先生の白い嘘」主演の奈緒のチャレンジを称えたい。風間俊介と三吉彩花も好演

リスクを取る人々を称えたい。

Appleの「think different」じゃないけど、しみじみそう思う。

そういう人たちが世の中を進化させる。それに平凡な自分にはできないから「せめてもの償い」で応援したい、もある。

この作品に出ることは心理的肉体的負担がとても大きかったと思う。何しろエロというよりも暴力的な性描写が多い。いくらプロとはいえ、相当にしんどかったのではないか。

よって、主演の奈緒。風間俊介、三吉彩花、この3人に心からの賛辞を送りたい。3人とも知らない顔を見せてくれた。役者として一皮剥ける作品であったのだろう。

高校教師の美鈴(奈緒)はお堅く地味なタイプ。広い一軒家に一人暮らし。彼氏もいない。

しかし実は性被害にあっており、しかも自分からそれを断ち切れずにいた。そんな自分に嫌気がさしてる。そんな気持ちもまた美鈴を蝕んでいた。

そんな彼女の生徒新妻(猪狩蒼弥)。ある日、彼から性の悩みを告白された美鈴は、彼につい自分の心のうちを吐露してしまう。驚くものの、それによりかえって美鈴に惹かれていく新妻。

ふたりの淡い思いが交錯する。そして秘密を共有したことで、その後お互いを支え合っていくことになる。

ここまでなら美しい青春物語で終わる。

しかし本作のポイントは、そこではない。見どころは美鈴に絡むふたりの人間、親友の美奈子(三吉彩花)とその夫早藤(風間俊介)のクズっぷりにある。

奈緒の演技力が高いことは織込み済みであった。しかし、あとの2人には本当に驚かされた。

特に奈緒を追い詰める早藤(風間俊介)。怪演すぎて、最初誰だかわからなかったくらいだ。確かこの人はジャニーズ出身だったはず。でも歌より演技のイメージが強い。様々なドラマや映画にそれこそちょっとした脇役にも躊躇なく出てる。全部違う顔出し、器用でいい役者さんだと思う。

またモデルのイメージ強い三吉彩花。女を振りかざすこの役にぴったりだし、彼女の持つ華やかさが画を救うところあった。が、それだけではない怪演ぶり。彼女の持つある種の太さ、みたいなものが活かされてる役であった。

そして内容について。男女の性の格差、不平等を描く作品。というような宣伝を見た。しかし観終わって思うことは、そうでもなかった印象。確かに男女で性の不平等はあるだろう。でも男女共に同じく、我々の肉体が精神を裏切ることがある。というそっちがむしろ主軸に感じた。その悲しい真実を描き、そこから抜け出そうと奮闘するそれぞれを描いた作品であった。

そんな人間の弱さと同時に強さが印象的。

インティマシー・コーディネーターを希望した主演の奈緒の要望を聞き入れず、更にこれを断ったことを自ら語った監督の振る舞いが非難されている。それは確かに残念な話ではあると私も思う。

しかし、その話が先行して本作の内容に話が及ばないことこそ、悲しい。作品は作品で評価されるべきと願う。

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