映画感想文「鮎川誠〜ロックと家族の絆〜」痺れまくりのカッコ良さ。心洗われるドキュメンタリー映画
カッコええわー。
陳腐で恐縮だが、ひたすら感想はそれ。あまりの粋な生き方に、何度もため息が漏れた。
今年1月に亡くなった、シーナ&ロケッツの鮎川誠と家族のドキュメンタリー。
ロックもよくわかってない音楽素人の私も心震えたポイントは、「生きがいを奪わないでくれ」と死の直前74歳まで嬉々としてステージに立ち続けたという音楽に対する情熱、一方で家族との穏やかな時間を何よりも大切にしていたという、地に足ついた暮らし。
福岡県久留米市でハーフとして生まれ、大学入学後に博多のライブハウスで活躍。出会ったその日に意気投合したシーナと結婚。
子供が生まれ、穏やかに暮らしていたが、「東京で勝負してみろ」という義父に後押しされ、双子の娘たちを残して上京。
夫は30過ぎての勝負。妻は上京してからのボーカル初挑戦。そんな崖っぷちの生き様が正にロック。
それからの成功は世間も知るところだが、偉そうでもなく威張ることもなく、ただやんちゃに音楽を愛しギターを奏で続ける。そんな普通の人として生きている姿が、めちゃめちゃ好感が持てる。
何より娘3人が両親を誇りに思い、愛しまくってるのがすごい。次女は両親のバンドのマネージャーになり、三女はシーナ亡き後にボーカルを務めた。ライブは家族総出で手伝う。
3人ともが両親のいちばんのファンであり支援者だった。
身近な家族にここまで愛されるというのは、なかなかできることではない。
70年代の日本のロックシーンで女性ボーカリストの草分けとして活躍し、その傍ら、ボディコンのマイクロミニで子供の学校を訪れ、みどりのおばさんもこなしたというシーナ。
いやあ、夫婦共にカッコいい。
更に、沢山のライブシーンとその合間に登場する盟友たちが豪華なんだが(バンドのファンだという俳優の松重豊も登場)その1人、甲本ヒロトのセリフがまた素晴らしくて痺れた。
「鮎川さんとシーナが死んだことは大したことじゃない。それよりも、そこにいた、ってことがすごいことなんだ」
ほんとにその通り。そこにいた、ってことに感謝したいとしみじみ思えた。
心洗われるドキュメンタリー映画。おすすめ。