映画感想文「水平線」あなたならどう選択するか。震災の傷を抱える福島のいま
あなたならどうする?を突きつける映画。
正解はない。
それぞれの回答があるというだけだ。だからこの作品を見て、自分ならどうするかをそれぞれが突きつけられる。
ちなみに私は、真吾と同じ選択をするに違いない。それはなかなか人に理解されにくいのだが。それでもそのような判断は自分自身の死生観や人生観によるものだ。
震災で妻を失った真吾(ピエール瀧)は娘の奈生と二人暮らし。
震災前は福島の海で漁師をしていた。いまは散骨業を営んでいる。父娘ともに、いまだ遺骨が発見されない妻であり母のことが胸に重くのしかかり消化できずにいるのだ。
ある日真吾のもとに松山(遊屋慎太郎)という男が遺骨を預けにくる。後にその遺骨をめぐり父娘の間で、また、町のみんなと真吾の間で諍いが起きる。
そんな中、真吾は何を選択するのか。それが描かれてる。
なかなかいいところを突いてる。個人的にもこの投げかけは好きだ。でも、惜しいのは色々盛り込みすぎてること。
それにより焦点ぼやけた感があり、そこが残念。
被災地のいま、そこに住む人々の暮らしを描きたかったのは理解できる。しかし、何もそこまで広げなくても良いのではないか。そう感じる箇所が随所にあり。もう少しシャープにできたのではないか、と素人は思うのだ。
だけど、これが初監督作品だという元俳優の小林且弥監督。初監督とは思えない出来栄えの良さではある。色々書いたが、これからもこの監督の作品は観ようと決めた(と思うくらいには満足した)。
なかなか良き作品でおすすめ。
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