映画感想文「ナイト・オン・ザ・プラネット」ほんのり元気になれる名作。これぞ映画の力だ
トホホな毎日だ。
仕事があるだけありがたい。さりとて、さほど上手く行ってるわけでもない。プライベートも介護や家族の諍いや小さな問題が山積みだ。
危うい毎日の中、なんとかバランスを保ち倒れないよう生きてる。
振り返ると、小さな善意たちに支えられてることに気付く。
コンビニの店員さんの笑顔。エレベーターの扉を開けて待ってくれる誰かの優しさ。通勤ラッシュの電車の扉前で出口をあけてくれる乗客の気配り。
誰かのちょっとした温もりが私を救ってくれている。
そんな一期一会が生まれるタクシーの中。5つの都市の運転手と乗客の出会いを描いた本作。
1991年公開のリバイバル上映。そういえば当時映画館で観たなと思い出す。
やっぱり圧巻は最初のロサンゼルス編。整備工を目指してる若きタクシー運転手、ウィノナ・ライダーのカッコ良さに痺れる。
対する乗客はビバリーヒルズに豪邸を構えるジーナ・ローランズ。こちらもいけてる。
年齢も立場も全く異なる2人。なのに、わずか10分程度の会話を交わす中で、心が通じ合う瞬間がある。その尊さに、観ているこちらも嬉しくなる。
大きな事件は起こらない。毎日のちょっとした、誰かと「分かり合えた」瞬間が取り上げられてる。ほんのりと温かい気持ちになる。
ああ、みんな懸命に生きてるんだな。私も頑張ろう。そう思えるストーリー。
疲れた時、心に沁みる。
声高に叫ぶわけではなく。でも少しだけ、明日に希望が持てる。そんな映画の力を信じてる。