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映画感想文「大いなる自由」絆が出来るまでを丁寧に描く。絵画のような映像が美しい
テーマは地味だし、あまり興味をそそらなかったが評判良いので視聴。
同性愛、刑務所での生活、登場人物は男性ばかり。
と、華やかさなしの作品。にも関わらず、大切なことを訴えかけてて、胸に響く作品だった。
結果、観てよかった。
第二次世界大戦後のドイツ。ハンスは175条(同性愛行為を禁じる法律)により、何度も投獄される。
しかし彼は何度投獄されても「愛する」ことを諦めず捨てず。終始どこにいても自分らしく生きる。
更に何度も刑務所で出会う異性愛者のヴィクトールとお互いの試練を乗り越えら中で、いつの間にか深い絆で結ばれ、かけがえのない関係を結んでいく。
という、自由とは何か、愛するとは何か、的な作品。
なんとこの175条、1973年に一部緩和、1994年に撤廃されたということで、つい最近まであった法律らしい。特に第二次世界大戦中はナチスによってより強化されたそう。そんなことまで法律で制限される世界がついこの間まであったということに衝撃を受ける。
刑務所で行われる様々な蛮行に、あー、そこまでいっちゃうと人間の尊厳を犯してるよな、と感じることがままあり。周囲もそうだし、個人としてもどこからが戦うべき尊厳の侵害なのかを観てる間に何度も考えさせられた。
そしてヴィクトールとの絆を深めていく過程がとても良かった。何度も喧嘩したりぶつかったりするのだが、それにより心の中を吐露し合い、理解が深まり、相手の傷を受け止めてかけがえのない存在になっていく。
日頃、人間関係って摩擦を避けがちだけど。
摩擦ありきではないものの、ぶつかることで本音を吐露するからより分かり合える、はあると思う。なかなか出せないけどね、現実は。そしてそれで破綻する可能性もあるわけだけど。
ということで、人間が関係を作っていくって、性別や年齢に関わらずこうだよな、と普遍的なことを描いてあり、胸を打つ。
そして自由とは何かのテーマ。
これも意外なラストが、観る人それぞれに投げかける仕掛けになってて、この作りの軽やかさが個人的にはすごく好きだなと感じた。
人間同士の絆を深める、や自由に生きる、ってテーマが好きな人に刺さりそうな作品。ちなみに絵画のような映像が美しく、映像マニアにもおすすめ。