映画感想文「カラーパープル」役者は地味ながら楽曲、歌声が素晴らしいミュージカル映画
原作が素晴らしいとスター不在でも成り立つ。
ウーピー・ゴールドバーグが主人公セリーを演じたスピルバーグの1985年公開映画に比べ、役者は地味な印象は拭えない。それでも圧巻の歌唱と軽快なダンスで最後まで見応えあり。なかなか良かった。
しかし、ひと昔前まで、こんなに人権が侵害されてたことに改めて驚く。
母を亡くし、横暴な父親に暴行され10代で父の子を孕み、子供は取り上げられ、自身は望まぬ結婚を強いられる。
そこでも夫に殴られ、虐げられ、辛い毎日を送る。そして唯一の心の拠り所の妹とも散り散りになってしまう。
救いのない世界。黒人であること、女性であることで搾取され、ボロボロにされる。
しかしそんな彼女の前に現れたのは、同じ黒人女性でありながらNOと自らを主張するソフィア、歌手として成功し自由に生きるシュグであった。
自分を大切にすることを彼女達に教えられ、セリーは徐々に変わっていく。
人は虐げられている間に卑屈になっていく。何より問題なのは自分で自分を愛せなくなることだ。周囲がどんなに辛くあたっても最終的に自分の価値を決めるのは自分だ。
改めて人の尊厳というものは自分が守るものだと思い知らされる。
歌が全て良かった。ミュージカルとしてロングランになるのもよくわかる。特にシュグ役のタラジ・P・ヘンソンの歌声は華があり安定感あった。彼女は「ドリーム」でも主演の3人のうちの1人で好演してたし目立っていた。
なんだろう。美しいとか踊れるとか歌えるとか。それ以外にも華のあるなしはある。