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映画感想文「ドリーミン・ワイルド」30年の時を経て認められた才能を巡る、家族の物語。真実ってのが痺れる
ところどころ、はっと考えさせられる。
ところどころ、切ない。
うんうん。人生ってこうだよね。人間てこうだよね。が溢れてる、胸を突かれる物語であった。
そもそも、実話ってのがそこに重みを加えてる。
1970年代のアメリカワシントン州。田舎町の農園で暮らす少年ドニーは音楽の才能に恵まれ、兄ジョーとバンドを組んでいた。幼い頃から大人顔負けの作詞作曲を手がけるギフティッドな子供。
父や母、家族はみんな彼の才能を信じ応援していた。しかし、父が農園を売り払い、家族総出で作り上げたアルバム「ドリーミン・ワイルド」。そのアルバムは、世間に全く相手にされなかった。
世間に揉まれていない善良な彼らは、才能は認められるべきだと、無邪気に信じていた。だからこそ、失望は大きかった。
失意の中、日常に戻った彼ら。
しかし30年後になんと、コレクターによってその才能が発掘される。奇跡のような出来事。アルバムは大ヒットとなる。
単純な成功物語ではない。そこがミソだ。
才能はプロデュースする人がいなくては世間に知らしめることはできない(特にインターネットもなかった当時は)という残酷な真実。同じ兄弟でも明らかに格差のある才能の違い、それが双方に呼び起こす葛藤。才能があったらあったで、家族の期待が喜びでもあり重荷でもあるという持てるが故の苦しみ。
そして失った時は取り戻せないという取り返しのつかなさ。
そんないろんなものが、てんこ盛りで胸に迫る。
でも、結局は、それらを全て凌駕する家族愛に癒される作品。
大家族の父を演じるボー・ブリッジスが体現する大きな愛が泣ける。また大人になったドニーを演じるケイシー・アフレックがすごく良い。
そういえばどちらも、俳優一家に生まれた俳優である。演じるということの歴史のストックが豊かな人達なんだろうと感じた。
才能は過去からの積み上げの結果誰かに現れるものだったりするに違いない。