見出し画像

映画感想文「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」才能の上の努力がスターであると悟るドキュメンタリー

全てがカッコ良すぎて、痺れた。

まるで映画のような人生だ。

きっとこの人は何をしても成功したのだろうと思う。持って生まれたものも素晴らしいが、何より不屈の精神と日々の努力が凄い。きっと、スターになるのはこういう人である。才能の上に努力も積み重ねられる人。決して諦めない、鋼のメンタルを持つ人だ。

SMAPとしてアイドルデビュー。それなのに1996年、22歳で突然のオートレーサーへの転身。

ここでは語られない苦労も多かったことだろう。誹謗中傷も多かっただろう。それでも退路は絶たれている。本作では終始明るく前向きで笑顔だ。だけど見えないところで幾度も悔しい思いをしてるだろう。

そして、転身から24年後。

2020年にとうとう最上位ランクのS級へ。同年11月の日本選手権オートレースで悲願の優勝。日本一のレーサーになる。46歳になっていた。20年以上諦めなかったことが凄い。

しかしその2ヶ月半後、2021年1月。レース中の転倒による全身の大怪我。いままでネットニュースなどで事故の酷さは見聞きしていたが想像以上であった。一生車椅子かもしれないと医者に宣告される。誰もが復帰なんて無理だと思っていた。

それなのに彼は諦めなかった。コツコツと2年をかけ、5度の手術。そして悲鳴を上げるほどの過酷なリハビリ。奇跡の復帰を果たした。

実は、なぜオートレーサー?と以前から不思議であった。それが本作では明かされる。幼い頃からの夢を最後まで貫くという一途さが凄い。

なお、度々登場する彼の兄がいい味を出している。同じくイケメンであるが、素朴で飄々とした言動で、クールで孤高の人のイメージの弟とは真逆のキャラだ。互いにかける言葉数は多くないが、兄弟の絆が伝わるやり取りが微笑ましい。兄弟っていいなー。

そんな兄の思い、そして彼をここまで導いた病院関係者の思い、彼を怪我させた自責の念に駆られる後輩の気持ち。それら全てを背負っての復帰戦は泣ける。これ鋼のメンタルでなければ、乗り切れないとしみじみと思う。

TBSテレビのドキュメンタリーを元にした劇場版。もともと彼をインタビューした監督が惚れ込んで作った作品というのも頷ける。

必見のおすすめドキュメンタリー映画である。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集