映画感想文「マリウポリの20日間」戦争の無意味さを痛切に伝えるドキュメンタリー映画
報道の価値を感じるドキュメンタリー映画。
ウクライナの主要都市マリウポリ。2022年5月からロシアの支配下にあるこの街が陥落するまでの20日間を取材した映像。
ウクライナ生まれのAP通信の記者。自らも危険を顧みず、この惨状を世界に伝えねばとロシアに攻められる戦地に残った。
爆撃で破壊される民家。なんの罪もないのに一瞬にして次々亡くなる一般人。生きながらえても、手足を失ったり大怪我を負う。ロシアに兵糧攻めにあうマリウポリ。医療物資がない中で手術を受ける子供達。
ロシアの戦闘機は病院までも襲う。妊婦や生まれたばかりの子供も亡くなった。これは立派な戦争犯罪である。
そして崩壊した商業施設から食べ物やシャンプーや玩具を盗む人々。極限状態に置かれ、不安の中で人間のダークサイドが顔を出す。
これが、一般市民からみた戦争。
そんな実態を最後まで一人で残り報道し続けた。この意義は大きい。彼の映像は世界中のニュースで報道され(日本でも)、その悲惨な映像が国際社会が動くきっかけにもなったという。
映像の力は大きい。人々を一緒にして動かす。
目を逸らしてはいけない現実。いま観るべきドキュメンタリー映画である。