見出し画像

映画感想文「夏の終わりに願うこと」7歳の少女の目から見た父の最後の誕生日に集う親戚たち

静かな作品だ。

まるでドキュメンタリーのような日常を丁寧に丹念に描く。

病に臥せっている父親が祖父の住む田舎で療養している。もうすぐ命の燈が消えようとしている。そんな中で親戚が集い、おそらく最後の誕生日を祝う様を描いている。

7歳の少女の目からみた父を取り巻く叔母や叔父や従兄弟たち。そしておじいちゃん。が見える。

最後の時を盛り上げたいと準備に余念がない人、その場にいたくないとメソメソ涙に暮れる人。

それぞれが自分なりのやり方で悲しみに暮れる。

そして、親戚が集まれば幼い子供たちの喧嘩や大騒ぎ。大人たちも同様に、買い物の仕方や料理、トイレの使い方まで、それぞれの勝手が違い、お互い譲らずに揉める。

こんなに悲しい時も、そんな日常が淡々と展開される。鬱陶しく、悲しい。

ドラマティックなことは何も起こらない。淡々と親戚が集まる、ある1日のどんちゃん騒ぎが繰り広げられる。

どこの世界も同じなのね、と苦笑する親戚の煩わしさとあったかさ。人と人の分かりえなさとそれでも通じる瞬間。それらを瑞々しく描く。

メキシコで高い評価を受けた若手監督の作品。疲れてる時に観ると睡魔に襲われる。心にゆとりある時の視聴がおすすめ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集