映画感想文「アナログ」疲れた心に沁み渡る清涼感のある御伽噺。波瑠が凄くいい
波瑠が凄くいい。
こんなに綺麗な女優さんだったっけ、と見直した。
上品で温かくて柔らかい。そこにいるだけで、周囲の空気が澄んでいくような透明感ある役柄。
非常に魅力的で誰もの心を掴む。きっとこの作品は、彼女の代表作になるに違いない。
まさかのビートたけし原作。小説も書いてたのかと驚く。なんと多才なことか。
二宮和也もいい。
デザインを起こす時はCGではなく模型。もの作りにロマンを求め、自分なりのこだわりを持つデザイナー水島悟(二宮和也)を丁寧に演じる。
人違いが荒い上司にこき使われ、手柄を奪われても静かに笑ってるようないい奴だ(というより、彼の軸は自分なりのこだわりのもの作りであり、出世や評価には興味がないのだろう)。
そんな凡人を見事に演じる。
幼い頃から芸能界で活躍しスターでありながら、どこにでもいそうな普通の人を演じるのがうまい。そして、何を演じても人の良さが滲む。
この人はきっといい人であり、常識人であるのだろう。
水島は、ある日行きつけの喫茶店で出会った女性(波瑠)とふとした会話からお互い惹かれ合い、毎週木曜日にそこで会う約束をする。
携帯を持たない彼女との恋愛は、週に一度の逢瀬を楽しみに待つ日々。会えば話が尽きず別れが惜しい。
そうして段々と2人の中は深まっていくが、ある日を境に彼女は消えてしまう。さて、いったい何があったのか‥。2人はどうなるのか‥。
彼らに絡む水島の幼馴染の桐谷健太、浜野謙太の2人、喫茶店のマスターのリリー・フランキー、いずれもいい奴揃いで和む。
少し御伽噺すぎるきらいはあるが、嫌な人も心が汚れた人も出てこない。疲れた心に沁み渡るような清涼感のある物語。
疲れてる時、ほっと和みたい時におすすめ。