映画感想文「画家ボナール ピエールとマルト」共依存関係の画家とモデルの妻。息苦しくもちと羨ましい
まるで、一昔前のロックスターだ。
100年以上前に活躍した画家について思うことだ。次々と女を取っ替え引っ替えし、それでも女達を魅了してやまない。
時代と共に職業は変わる。それでも常にそんな風にモテモテな職業がある。
これは画家が最もモテた時代。そんな時代の画家ピエール・ボナールとその妻マルトの物語だ。彼のモデル出会ったマルトはミューズであり妻だった。ボナールの作品の中で彼女を描いた絵画は多い。
それでもそんなに愛している妻を裏切り、浮気を重ねる。だが、彼と別れることのできないマルト。まるで共犯者のように彼の仕打ちを受け入れ続ける。
そんな風に共依存の関係は見ているだけで恐ろしい。どうにもならない誰かにどうしようもなく恋焦がれる。精神が崩壊しそうになることも度々だと思う。
それでも、羨ましいと感じてしまう。そんな風に誰かを必要としたり必要とされたり。それは人生における奇跡だからである。
そんな奇跡を赤裸々に描いた本作。
日本絵画にも影響を受けたと言われているボナールの半生を描く作品。このように画家の人生を知ると絵をみるのも楽しめそうだ。