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映画感想文「HAPPY END」瑞々しく軽やかな、若者群像劇。映像が抜群に色っぽい
瑞々しく軽やか。
とても好感の持てる、色っぽい作品だった。
近未来の日本が舞台。いつもつるんでいる仲良し5人組の高校3年生活を描く。
幼馴染のユウタ(栗原颯人)とコウ(日高由紀刀)は親友だ。何しろ趣味も同じ。2人とも音楽が大好き。一緒にライブハウスに通い詰め、バンドを組み音を奏でる。
そんな一心同体だったはずの彼ら。しかし、互いの成長と共にそれぞれの進む方向が変わり、関係がギクシャクし始める。誰もが身に覚えのある出来事。それだけに、深く胸に刺さる。
他にもセネガルとのミックスのトム(ARAZI)。同じく中国とのミックスのミン(シナ・ペン)。いつもひょうきんなお調子者アタちゃん(林裕太)。
それぞれに魅力的な個性溢れる若者達。その5人が、まるでこの先の別れを予感してるかのようなはしゃぎぶりが、美しくほろ苦い。
そして、何しろ映像が抜群に良いことに驚く。ともかく、どこを切り取ってもポストカードになりそうなナイスショット!なのだ。
これが長編映画初監督だという空音央監督。初めて知ったのは数ヶ月前に劇場公開されていた「Ryuichi Sakamoto Opus」だった。坂本龍一の最後のライブ。その時も、登場人物はひとりのピアノ演奏を、軽やかにスタイリッシュに映しきる映像に圧倒された。これはこの監督の強みに違いない。
また、権力との対立、国籍問題、災害、社会課題を取り上げながらもどこか軽やか。そしていずれも深掘りしすぎず、答えも提供しない。そんなところが現代的だなと感じた。
そして見つけた、先生役の中島歩。ちょい役だが相変わらず印象に残る。この人の作品選びは本当に好きだ。テレビも映画も、内容のジャンルも色々だけど、あー、いい作品だな。と思うと大抵この人がいる。何気に注目している俳優である。