映画感想文「ダンサーインParis」漢方薬のようにじわじわ効く癒しの映画
静かに癒される映画だ。
というのが感想。
バレエは理解できないしなーと。観るかどうか直前まで躊躇したが、観てよかったとしみじみ思った。
冒頭、パリのオペラ座でエトワールを目指す26歳のバレリーナが怪我で骨折するところから、物語はスタートする。
辛い現実。
怪我以外にも、こんな時に限って、恋愛や家族との関係もうまくいかない。
人生って、時としてこんな風に目詰まるもんだ。
踊れない間、主人公は、フランス北西部のブルターニュ地方で住み込みの料理人補助として働くことを選ぶ。そこでの様々な旅人達との邂逅により、少しずつ、彼女の人生の潮目が変わり始める。という、お話。
前半の舞台はパリだが、後半はブルターニュ地方が舞台である。
これがまた、美しい。ため息が出る風景だ(ちなみに、邦題は変えた方がいいのではないかと思うくらい、ブルターニュ地方の出番が多い)。
主人公はパリオペラ座にも出演しているバレリーナが、実際に演じている。よって映画の中で、バレエ公演のような美しい踊りを見ることができて、眼福。
容姿端麗、踊りも素晴らしいのは言うまでもないが、ナチュラルな演技もよい。
更に欧米人にしては顔のパーツが小作りでだが表情が豊かで、時折はにかむような表情を見せるのがキュートで日本人にも親しみやすい。すっかり魅了された。
そして、主人公をはじめ登場人物達がみなちょっとだけ不完全で情けなくて。でもそれを周囲が、全然オッケー、それで良いよ、とありのままを受け止めてる様が、心地よかった。
これってフランス映画っぽくて好きだ。
完璧な人も極悪人もいない。そこがハリウッド映画と違うところ。
癒しを求める時に見るべき漢方薬の様な映画。じんわりと元気になれる。
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