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映画感想文「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」大統領以前の彼のルーツを探る物語

ニューヨークに友人と旅行した。

もう30年以上昔のことだ。

私は100%プライベートだったが、友人はある人を取材するという、仕事も兼ねての旅だった。

その取材相手が滞在していたのがトランプタワー。

ウキウキと出かけていった友人が取材から戻るなり、「ともかく金ピカで恥ずかしいくらいバブルなビルだった。あんな凄いところに住めるってどんな人なんだ」と熱く語っていたのをよく覚えてる。

この映画は、そのトランプタワーを作った人、1946年、ニューヨーク市クイーンズ地区で不動産業を営む家庭に生まれたドナルド・トランプ。彼が今のようになる、大統領以前の彼の物語である。

まさにトランプタワーを皮切りに世界に名を馳せ、不動産業の成功者、大富豪として1980年代から頭角を表し始めたトランプ。

そんな彼は、若い頃は、金髪で青い目を持ち、ロバート・レッドフォード似と言われた痩せっぽちの美青年だった。

しかし、彼はいつも飢えていた。

もっと成功したい。もっと権力を手にしたい。一般的には満たされているはずなのに、いつも、物足りなかった。父の事業を継ぎ、口やかましい父のもとでやりたいこともできずに支配されていたことも、飢えに拍車をかけたのかもしれない。

若い頃からずっと彼の中に存在していた。飽くなき欲望や見栄。それがこの作品を見るとよくわかる(ドキュメンタリーではないので、あくまでも制作側の創作ではあるが)。

その彼がどのような人生を辿り、いまに至ったのか丁寧に描かれている。

恐ろしいと思う。あまり共感はできない。

それでも大統領選の結果を見ると「アメリカン・ドリーム」という魔法の言葉に人々が集うアメリカという国は、そのような国なのだとも思う。

1週間限定の先行上映。かなり楽しめた。

2時間の映画に収めるにはこれが限界と思う。それでも、個人的にはもっと前、幼少期からの彼の人格が形成される過程も、見たかったとは思う。

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