映画感想文「セールスガールの考現学」軽やかでポップなモンゴル映画
軽やかでポップなモンゴル映画。
えー、こんな感じなんだ、モンゴル。という驚き。音楽含め、なかなかよい。
親のいうなりに進学し、でもなんだかなーとモヤモヤしてる女子大生の自分探しの物語。
真面目で冴えない女子大生サロールは、怪我をした友人に頼みこまれ、彼女のバイト先のアダルトショップで働くことになる。
いままで出会ったことのない人たちとのやりとり、そして何より自由奔放なオーナーであるカティアとの友情を育む中で、知らぬ間に影響を受けていく。
何より彼女が様々な経験を重ね自分を解放し、どんどん垢抜けていく様がエキサイティングで心躍る。
若者の成長物語はいつ見てもキラキラ輝き、見る人の目を惹きつける。
そして、二つの仕事を掛け持ちする労働者階級の両親に育てられ、その苦労を知る彼女が愚直なくらいに真面目なのもわかるし、華やかな世界にいた年上の女性カティアがそれとは真逆の価値観を持つのもわかる。
どちらがいいとか悪いではない。
お互いに背景があり、今そうなっているのだ。
親子ほどに歳の離れた2人だが、どちらかだけが一方的に教えを授けるわけではなく、お互いにこの出会いで変化を見せていることが好感が持てる。
価値観の異なる相手と交わり、当然ぶつかり合いながらも少しずつ相手の影響を受けていく。人間関係って、結局はそんなものだ。
だから、いくつになっても、こんな風にしなやかに。出会う相手に影響を受け、コンフリクトを起こして立ち止まったり、一旦は勇気をもって受け入れたり、真摯に向き合える自分でありたい。としみじみ思う。
ユーモアに溢れ、ライトな気持ちで楽しく鑑賞できる作品でおすすめ。