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映画感想文「ぼくの家族と祖国の戦争」主張をぶつけ合う大人の愚かさを子供視点で描く反戦映画
人間はなぜ争うのか。
すっかり大人になった今も、その問いは解けない。
北欧でもこんなことが起きていたのか。とまず舞台設定に驚く。でも考えてみればあたりまえか。あの頃は世界中がこの調子だったのだろう。
本作は第二次世界大戦下、ドイツからの難民受け入れを余儀なくされたデンマーク。その受け入れ先となった大学の学長ヤコブとその一家の物語である。
占領下のデンマークではドイツ軍の指示は絶対だった。500人以上のドイツ難民を学校の体育館や教室で受け入れる。敗戦濃厚なドイツ軍に難民を世話する余力はなく。すべては本人たちと受け入れ側に委ねられた。
寒さと飢えで疫病に罹り亡くなっていく難民達。最初は反ドイツの気持ちからしぶしぶ受け入れたが、やがて人として気持ちが揺れ動き、彼らに手を差し伸べていくヤコブ。
だが、人間として当たり前のことをしようとするその行動は、ドイツ軍を憎む近隣住民との間に軋轢を生み、抜き差しならない状況をよんでいく。
ヤコブの12歳の息子セアンの目を通してみた大人達の憎しみ合いが不毛すぎて有害すぎて、切ない。
自分の主張の正しさを押し付け合うだけの大人達。見ていて悲しくなる。これは何物も生まない。いや、むしろ憎しみが増長していくだけである。
しかしそれは戦争ではないものの、日頃から私達がとっている日常行動でもある。この自分自身も持つ愚かさをどう飼い慣らせばいいのか、いまだにわからない。