映画感想文「ゴーストワールド」90年代米国に生息する中二病女子。痛いけどわかる、の連続
あの頃は、不安定だったと思う。
自分が何者かわからず、先の見えなかった10代。いつもモヤモヤでいっぱいだった。
自信がなくて。でも反面、妙に強気で。
どこまでも自由が広がってたのに。そこには可能性しかなかったのに。
なのに、なぜ幸せを感じられなかったんだろう。もったいなかったな。
そんなティーンエイジャーの女の子2人のお話。
2001年公開の映画だが、この度映画館でリバイバル上映。カルトな人気映画のため、ほぼ満席。あの頃の若者と当時は生まれてなかったであろう今の若者。二つの世代がひしめく映画館で鑑賞。
イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)は晴れて高校を卒業し自由を味わっていた。まずは羽を伸ばし自由を楽しみながら、将来何をするかについて、それぞれ探し始めたところだ。
しっかり者で現実的なレベッカ。
美人でモテモテだが、地に足がついており決して浮かれない。ちゃんと仕事を探し、なんだかんだ文句を言いながらも辞めずに働き、貯めたお金で家を出て一人暮らしをスタートさせる。
一方でシングルの父親と2人暮らしのイーニド。
こちらは絵を描くのが得意なオタク気質。レベッカほどではないが常にボーイフレンドはいる。
ある日いたずらを仕掛けたことから知り合っただいぶ年上の中年男シーモア(スティーヴ・ブシェミ)と思いがけず意気投合し、徐々に2人で弛むようになる。
そしてイーニドは段々と彼に惹かれていく。それでも自分の気持ちをうまく整理できずコントロールできぬまま周囲に当たり散らす。その姿は、まるで中二病だ。
そんな色々と「痛い」イーニドを演じるソーラ・バーチ。「アメリカン・ビューティー(1999年公開)」のヒットで名前をあげた女優さんだ。その時は主人公夫妻の娘である高校生を演じていた。
対するスカーレット・ヨハンソン。この映画公開当時はまだ、売れっ子前夜。「ロスト・イン・トランスレーション」「真珠の首飾り」(共に2003年公開)の出世作は公開されていない。
この映画でも、可憐な可愛さMAXながら、大きな印象は残さない。単なる主役と仲良しの美人な女友達、である。あくまでも主役は不安定な思春期メンタルを持つ、ソーラ・バーチなのだ。
2人のお洋服や部屋のインテリアなど、映画に登場するファッションがいずれも可愛い。これを観てるだけで幸せな気持ちになれる。
今月末まで上映。
気になる方はぜひ映画館でチェックを。Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下。余談だがここのコーヒーとアップルパイは他の映画館の追随を許さぬレベルの美味しさだ。