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映画感想文「ライオン・キング ムファサ」素晴らしい映像は大画面向き。しかしストーリーは物足りず
バランスよし、でもイマイチ記憶に残らず。
映像が迫力満点で美しい。そこはマル。大画面で観るに値する。しかし、残念。なにぶんストーリーが単調すぎる。先が読める展開だ。
シンバの父、ムファサの始まりの物語。
幼い頃のムファサ。親とはぐれ孤児になった彼は遠く離れた土地で王の息子タカに命を助けられる。兄弟のように仲良くつるむふたり。無邪気な子供ライオンだった。
血筋の良いタカは弱虫でなにしろ力量不足。それに比べ野良ライオンのムファサは何をやらせても上手くこなし、非常に優秀だった。身近な人の際立った優秀さは周囲を傷付ける。王を継ぐ血筋なれど、勝るところのないタカ。やがて思春期を迎えるにつれ、どんどんとやさぐれていく。
ムファサへの嫉妬が抑えられなくなったタカ。ある事件をきっかけに裏切る時がやってくる。
嫉妬ほど恐ろしいものはない。それは真実。でもなんだか、その描き方が浅い。なので未消化。もやっとする。
段々と闇に堕ちていくってテーマは、「スターウォーズ」シリーズのダースベイダーと同じ。よく考えれば、あっちもちょっと未消化だった。それは私の問題か。これは闇堕ちほど自分を追い詰められない、いい加減な私の力量不足ゆえ、なのかもしれない。
といっても一瞬だけなら、闇に落ちることはよくある。ハッとしてすぐに自己嫌悪になる中途半端さだけど。
つくづく、蔑ろにされても、闇落ちしないメンタルを持ちたいものだと思う。
ともかくタカの闇堕ちにモヤモヤし、ムファサの中途半端な甘さにイラっとして。それでも映像の美しさに癒される作品である。