映画感想文「蛇の道」仏語を操る謎の女、柴咲コウが素晴らしい。黒沢清監督作品
柴咲コウが良い。
ともかく、それに尽きる映画。
もともと観る予定なかった。なのに映画館に足を運んだのは、YouTubeで流れてきた本作のPR映像がキッカケだ。
外国特派員上映会での映像。そこでインタビューに答える柴咲コウの流暢な英語。それを見て彼女自身に興味を持ったから(いやほんと、チャーミングで素敵なんでぜひ多くの人に見て欲しい映像だ)。
本作が26年前の黒澤清監督作品のリメイク。それは、後から知った。
誰かの作品をリメイクするのは良くあることだ。しかし自分自身でリメイクする、は珍しいのではないか。それは、いったいどんな背景から意思決定していくものなのか。
何かやり残しがあったのか。いや、むしろ達成感に溢れる作品だからこそ、時代に合わせたアップデートをして再度世に出したかったかったのか。
仏蘭西パリ。異国の街で精神科医として自立して生きるサヨコ(柴咲コウ)。患者に親しげに話しかけられても自分を出さない。心をを閉ざした感のある、訳ありな女である。
ある日病院で。8歳の娘を殺され心身喪失し精神科に通う男アルベール(ダミアン・ボナール)と知り合う。
なぜか、彼の復讐を手伝うサヨコ。いや、むしろ彼女の方が積極的であり、彼を導いているようにも見えてくる。不思議な引力を持ち物語を引っ張る。
終始無表情だ。そんな謎めいた女役がよく似合う。彼女の持つ毅然とした美しさがより際立つ。
若い頃テレビドラマでの活躍を見ていたが、年齢を重ねた今の方が圧倒的に素敵だ。そこに彼女のいままての道のりの豊かさを思う。
男女問わず、人に魅せられるのってそんな時だ。
正直いってシナリオにはツッコミたい点はある。でも外国人俳優たちと肩を並べ仏語を操り立派に主演を張ってる彼女の姿になぜか元気つけられた。
そんな作品である。