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映画感想文「サンセット・サンライズ」随所にスパイス効きながらも優しく寄り添う作品。菅田将暉やっぱ凄い
ありがちな設定ながら、随所に小技が効いてる。
そんな「小股の切れ上がった」粋な映画である。さすがの脚本は宮藤官九郎。
普通に見えて風刺や主張が見え隠れし、スパイスになってる。それでいて、誰に対しても緩く優しく心地よいのがクドカン脚本の特徴である。
舞台は東北の宮城県南三陸。
誰もがどうしても忘れられない大震災から9年後、コロナを迎えた2020年。リモートワークになったことをきっかけに東京からお試し移住で、引っ越してきたサラリーマン西尾(菅田将暉)。
彼が借りる、海を臨む4LDKの戸建てはたったの家賃月6万円。そして大家さんは訳ありの百香(井上真央)。
美人で気立もいい、みんなのマドンナ百香には、地元の男たちが親衛隊のようにくっついてて、東京もんの西尾を牽制する。
親衛隊の面々は料理屋の店主ケン(竹原ピストル)や、ヤンキーのタケ(三宅健)などなど。
コメディちっくな彼らの掛け合いがクスリと笑える。そして百香の父を演じる中村雅俊が東北訛りの好々爺を演じ、ほっと和ませる。
誰もが避けて通れない震災を真正面から扱いながら、紋切り型になってないところが良い。
何しろ、中盤過ぎのところで登場する、竹原ピストルの長めの独白に泣けた。これ聞くだけでも見る価値あり。
なお、百香の同僚を演じる、池脇千鶴がいい味出してる。竹原ピストルと共に本作に欠かせない名脇役ぶり。彼らが物語を回してる。
そして、久しぶりにみた井上真央。いい感じに年齢重ねてて、めちゃくちゃ可愛い。もっと色んな映画に出てほしい。
最後に。主演の菅田将暉の陽キャラな主役感が圧巻。更に映画の中に出てくる味のあるパステル画。とっても素敵なんだが、全部菅田将暉の作品だそう。どんだけ多彩なんだとびっくり。天は何物も与えたもう。
誰が見ても楽しめる、好感度の高い作品である。