精神疾患に対する偏見
双極症という病気が寛解して4年目に入った。ありがたいことに、体調は安定していて、躁鬱の波のない日々を過ごしている。最近は、講演会の仕事も増え、中学校や国際交流協会など様々なところからオファーをいただくようになった。病気だということを忘れてしまいそうになるくらい平穏に暮らせている。
寛解はしたものの、私は病気のことをごく親しい友人と、家族にしか話していない。なぜなら、偏見を持たれ、過去に嫌な思いをしているからだ。今日は、そのことを書こうと思う。
私は自分の病気のことを私の許可無く勝手に人に話されたことがある。話したのは、私の義両親だ。
夫の妹が結婚することが決まり、その時になぜか義両親は、私の病気のことを義妹とその結婚相手に話したのだ。私は今でも、このことには怒っている。私のプライベートな話をなぜ勝手に許可無く話したのか。理由は、「家族になるから」だそうだ。は?私の育ったヨーロッパだったら、ありえない話だ。家族だから、何でも話して良いわけじゃないだろう。義両親は私のことを自分たちの所有物か何かと勘違いしているのだろうか?
日本だから普通なのかと思い、日本人の友人の何人かに話を聞いてもらったが、皆「それは普通じゃない、日本でもおかしい事だ」と怒ってくれた。やっぱりおかしいよな。今振り返っても、私に対するリスペクトに欠ける行為だと思う。
実は私が、義両親が義妹夫婦に私の病気のことを話したと知ったのは、だいぶん後になってから、義妹の結婚式が終わって数ヶ月経ってからである。その間に、義妹とは数回会っているのだが、彼女から私に「病気のことを聞きました」と話してきたことは一度もない。私が彼女の立場だったら、そう声を掛けるが、そもそも彼女から私に話しかけることは、以後一度もなくなる。
義両親が私の許可なく勝手に病気のことを話したことにも怒りはあるが、それよりも更に憤慨することが起こる。
きっかけは、私がnoteに書いて公開した記事だ。「双極の波がおさまったわけ」と題して、薬と認知行動療法のおかげで、躁鬱の波が来なくなったことを書いた記事。この記事を読んだ義妹が、わざわざ義母に電話をかけ、私が激躁状態だと言ったそうだ。ちなみに、その時、私の体調はかなり安定していて、主治医にも寛解したと言われている。とんだお門違いだったのだが、なぜ私や夫にではなく、隠れて義母に言うような行動を取ったのだろうか。本当に心配なら、直接自分の兄に様子をうかがえば良いだろうに。
そもそも、私は義妹にnoteの存在を教えていなかった。どうやってその記事を読んだのか。後から義両親に聞いたのだが、義妹は私に何の一言もなく、私のXをフォローしていたそうだ。親に似て、人に対するリスペクトが欠けているな、と正直思った。私なら、一言「Xをフォローさせてもらいました」と話すだろう。そうしないところに、私は彼女の病気に対する偏見を感じた。
彼女に監視されている気分になった私は、夫と一緒に何百人といたフォロワーの中から義妹を見つけ出し、ブロックした。夫も私と同じように、いや、私よりも憤慨していた。そもそも夫は、妹と彼女の結婚相手の態度の悪さに怒っていたので、今回のことで完全に妹夫婦が嫌になってしまったようだった。
義両親には、今後は勝手に私の許可なく、病気のことを話さないでほしいと伝えた。義両親の今回の行動で、私たち夫婦と義妹夫婦の間には亀裂が入ったのだ。しかし、義両親は、そんなことは無かったことになっているかのように、やれ妹に連絡しろ、子どものお祝いを送れと言ってくる。夫は、妹の話が出るたびに、嫌な気持ちになるようで、機嫌が悪くなる。そんな夫は、見たくないので、妹関係の写真は送らないように頼んだ。しかし、伝わっていない。伝わらないのだ。
それどころか、妹の写真を送らないように言うのは、妹夫婦には子供がいるのに、私たち夫婦に子供ができないから、私が悲しむからじゃないかと思っているらしい。は?私は子供なんて欲しくない。なぜ、直接聞いてくれないんだろう。「子供は欲しいと思っているの?」なぜ、その一言が聞けないのだろうか。そもそも、生きてる人間全員が子供が欲しいと思うわけがないだろう。子供が欲しくない人も世の中には山のようにいるのだから。
最後は愚痴のようになってしまって、申し訳ない。書きたかったこととしては、精神疾患を抱えていると、このようにリスペクトに欠けることを言われたり、されたりすることがあるということ。そして、それは家族という「枠」があればあるほど、顕著に見えてくるということだ。
家族なんて、大嫌いだ。私は、今回のことで、心の底からそう思った。血縁関係なんて全くの無価値。私にとっての本当の家族は、私のことをリスペクトを持って接してくれる人であり、大事にしてくれる人のことだ。夫は、私のことを本当に大切にしてくれる。だからこそ、夫の家族は大事にしたいと思っていたが、難しそうだ。特に義妹夫婦とは、お付き合いを遠慮させてもらうことにした。
「家族」という名のカテゴリーで考えると、見えづらくなるが、結局のところ、人付き合いは「人間性」が一番大事だ。その人と仲良くしたいか、どうか。その人のことが、人として好きかどうか。私達はもう、30を過ぎたいい大人だ。誰とどう付き合うかは自分たちで決める。自分たちの人生だから。自立したいい大人の決断をリスペクトしてほしいものだ。