映画「リバー、流れないでよ」で感じた、絶妙で天才的な時間遊び
『サマータイムマシン・ブルース』が好きな私は、ヨーロッパ企画のタイムトラベルものと聞けば、四の五の言わずとりあえず観ることにしている。
2分ループ?と聞いた瞬間、「はいキター!」。
そういえば『ドロステのはてで僕ら』も同じ2分だったな。
まさに「また2分。」である。
2分間というのは絶妙な長さで、「本当にいいところに目をつけたよねー」と感心してしまう。(私は何様?笑)
CMの合間にトイレダッシュするくらいの長さ?
間に合うか間に合わないか微妙な時間。
話し合うには短い。が、できないこともない。
熱燗を作ろうとするも、熱くなる前に2分経ってしまい、冷えて永遠に熱燗にならない。
食べても食べても2分経つとまた戻ってる、永遠に減らない鍋の雑炊。
そんな2分ループという縛りの妙味を活かした作品だった。
独特の“ループ”による現象が、シュールだけど妙にコミカルなのだ。
2分を繰り返しながら少しずつ状況を理解し始め、ループの法則を攻略していこうとするキャラの試行錯誤がまた面白い。
同じくタイムループものでは「MONDAYS」があったが、あれと違うのは、記憶がリセットされない点だろう。あちらはみんなが状況理解をしていく様がおもしろかったが、こちらは皆さんタイムループの状況の理解が早い!
気持ちの切り替えも早いし、素直だし笑
登場人物がひたすら混乱するのを眺めるのも醍醐味だったりするはずだが、
こんなアプローチも面白いね。
いつの間にか「はいはい、また2分ね」と慣れていって、むしろ使いこなしてる感じが新鮮だった。
彼らがループをどう利用するかが見どころでもある。
状況が進みそうで進まない歯がゆさと、逆にその短さを利用してあれこれ試す登場人物たちのはっちゃけっぷりが楽しい。
どうやって終わらせるの?
と、あまりにこのループが永遠と続くと中弛みするなぁ…と思い始めたタイミングで、大きく物事が動く、進展するという脚本が光っていた。飽きない!
馬鹿馬鹿しさとともに、タイムループという、観ているこちらも受け入れ態勢ができている安心感があり、不意に笑いがこぼれる魅力があった。
2分ワンカットで動き回る役者さんを観てるこっちも一緒に息切れしそうだったけど、楽しかった。
「小さな自由の中でどう動くか」という時間の罠に遊ばれているような感覚がクセになる。