
眠気を超える魅力「DISTANCE」、映画とドキュメンタリーの狭間で
20年ほど前に観て衝撃だった映画が、最近Amazonプライムで観られるようになっていて思わずリピートした。
私が初めて是枝作品を見たのは『DISTANCE』だ。
浅野忠信や井浦新といった俳優たちが出演していることで、キャスティングに惹かれて選んだ作品だった。
彼らがどのような役を演じるのか興味を持ちつつ鑑賞を始めたが、私にとっては予想以上に異質で新しい映画体験だった。
最初は、セリフが自然すぎて驚き、内容が掴み難く、何か物足りなさを感じつつも、しばらくすると登場人物が置かれた状況に気づいていき、想像を超えた世界に引き込まれた。
正直に言うと、途中何度か寝た(笑)
それは、登場人物たちがまるで実生活をそのまま映し出しているかのようで、街中で耳にする日常会話をそのまま映画にしたように感じられたからだ。
劇的な展開や派手な演出に頼らず、音楽もなく、話も淡々と進行していく。
内容は、カルト教団の無差別殺人を描いた作品で、物語は加害者遺族の視点で進む。
大切な家族が加害者になる一方で、遺族としてはカルト教団に家族を奪われた被害者でもあるという複雑な立場が描かれている。
そんな興味深い内容に引き込まれ、寝落ちしても続きを見たくなる映画だった笑。
後からドキュメンタリー出身の監督だと知り、納得した。
その自然さこそが、この映画の魅力でもあり、是枝監督があえて役者にセリフを任せるという、ひとつの実験的な試みだったのだと思う。
通常の映画では想像しにくいような、思わぬリアルさを見せつけられ、驚きと共に深い印象を残された。
キャラクターたちが語らずとも何かを伝えている瞬間には、まるで本物の人生を覗き見ているような感覚を覚える。あえて作られたセリフに頼らず、むしろ空気の流れを感じることができる映画。
日常のひとコマを切り取るようなシーンの中に、この作品を通じて、映画がただの物語ではなく、人間の内面や感情の揺らぎ、矛盾した思いをそのまま映し出されているように感じた。
映画がまるでドキュメンタリーのようにリアルに映し出される。
そのリアルさが、自分とは縁がなさそうに思えていた世界を、突然身近なものとして感じさせた。もしかすると、自分も家族や友人を通して、似たような状況に巻き込まれる可能性があるのではないかと思わされるのだ。
何が言いたいのかというと、眠たくなる映画が必ずしもつまらないわけではないということだ。
「眠気≠つまらない」
これだけ覚えて帰っていただければ幸いです(笑)
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