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映画【推しの子】-The Final Act-を観て残ったのは何とも言えない寂しさだった
先日、映画【推しの子】を観た。
昨年12月にPrime Videoで公開されたドラマ版(全8話)を観ての鑑賞だった。
【推しの子】は、誰もが一度は聞いたことあるような人気作品であるためか、その実写化が発表された時は、結構ネガティブな意見も多かった気がする。
正確には、ネガティブな意見を直接目にしたわけではなく、一部のメディアではそういう文面が多かった印象がある。
原作は読めておらず、アニメは1期・2期を続けて視聴している私も「アニメで観てた世界観をどう実写化するのだろう?」と思ってたひとりだ。
まずは、ドラマの1話を実際に観てから続きをどうするか決めたいと思った(イマイチだったらそこで辞めるつもりで…)。
ドラマは全8話で各話40〜50分。結局立て続けに全部観てしまった。基本はアニメで視聴した話の流れで、第8話はアニメ2期の最終話を飛び越えて先行する原作の話も含まれていた。
これは映画とドラマに共通して感じたことだけれども、単純に観ていて(たとえ先を知っているとしても…)話に惹き込まれた。そして続きが観たいと思った。
それは【推しの子】の物語をテンポよく繋げる展開だったり、演じられている方々が何かしら登場人物の生い立ちや経歴と重なる部分もあり、実写であっても【推しの子】を感じられたことが関係するかもしれない。
映画の話に移ると、前半はドラマで省かれていたアニメ1話のエピソードが補完される形だった。そして後半は、アニメに先行して原作の最終話に至る(復讐劇の結末)までが描かれていた。
映画終盤に近づくにつれ、どこかで「完全ではないにしても少しでも救いがある結末であったら良いな…」と少し期待する場面も一瞬あった。それはアクアとルビーが過去の出来事を「許し」「今を生きる」ことに目を向け始めた時だ。
最終的に、カミキヒカルとの因縁の前にそれは叶なわず、「結局こうなってしまうのか…」という結末は、個人的に残念ではあった。
映画と原作の違いは正確にはわからない。ただ、多くの方の感想を読む限り、ほぼ原作をなぞる展開だったようだ。
【推しの子】で、人気マンガの実写化(舞台化)に対して、原作者と製作者の意図が噛み合わず、葛藤するエピソードがある。
今回【推しの子】の実写化は、まさにそのエピソードまんまの出来事が裏では繰り広げられたのではないだろうか。
映画やドラマ制作となれば、多くの関係者がいて、制作費やスケジュール、他にも出演者の撮影期間や時間的な制約などもあり、そういう状況で原作の改変や修正もやむなく発生してしまうケースは、どうしてもあるのだろうと想像する。
過去アニメの映画やドラマ化が批判された例で思うのは、原作や登場人物へのリスペクトがあるか?が一つの焦点のような気がする。そういった意味では、今回の実写化は、作品へのリスペクトを私は感じられた。
削られたエピソードなどもあったが、主人公のアクアとルビーに焦点をあてて、主要な人物に欠かせない要素はほぼ盛り込まれていたし、【推しの子】を全く知らない人でもドラマと映画を観ることで、物語の根幹は体感できる構成に思える。
また俳優の方々も、最初の方こそ役に慣れてないためか、個人的に思うこともあったが、途中から【推しの子】の登場人物との重なりや広がりを感じた。
そこには確かにアイやアクアの姿があり、ルビーがいて、有馬かなや黒川あかねもいて、そして新生B小町は、実際にこんなアイドルがいたらいいなと感じることさえあった(有馬かなの卒業ライブは、本当の卒業のようで切なかった…)。
映画を観終えてその結末を知り、原作も終了した今、【推しの子】という作品がついに終わってしまったんだと実感した。もちろん、映画は原作全ては含まれてないし、アニメも次の3期が控えている。その意味ではまだ自分には未知の楽しめる要素はある。
ただ、想像以上に実写化の完成度が高かったのと、今まで知らなかった物語の結末を映画で垣間見たのもあり、もうアクア達の先の物語やB小町のライブは観れないのか…と思うと、何とも言えない寂しさがこみ上げてきた。
見方を変えるならば、アクアは最終的にルビーを救い、ルビーは悲しみを乗り越えて、アイと周囲の念願だったアイドルとしてドームに立つ夢を叶えたというのが唯一救いに思えた。
加えて、劇中とエンディングに流れるSHINING SONGは、人生で様々な別れや悲しみはありつつも「この瞬間を生きる」「自分自身の人生を歩いていこう」という歌詞は、映画【推しの子】の一つのメッセージであり、一つの希望でもある気がした。
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