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【映画感想】 すずめの戸締まり -今現代人が忘れかけている何かに改めて気づかされた作品-

こんにちは。すうちです。

先週から新海誠監督の映画最新作が公開されたので、早速観に行ってきました。

今回は映画『すずめの戸締まり』を観た感想です。


はじめに

ストーリ

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるようにすずめは扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。迷い込んだその場所には、すべての時間が溶けあったような空があった。不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。

イオンシネマ作品案内から引用

全体は映像美はもちろん、主人公たちの出会いを発端とした話の展開だったり。根底に流れるものは新海ワールド全開で冒頭から最後まで作品に引き込まれました。

本作品の要素としては、旅 x 一途 x ファンタジー(神話)がある気がします。これら3つを掛け合わせたストーリ展開は新しい感じがしました。

ただ、後述の難しいテーマを扱っているため、視聴者の視点や受け取り方によって賛否が分かれる部分もあるかもしれません。

※以降、基本的にストーリは「ネタバレなし」で書いてますが、間接的に想像できる内容は一部含まれます。


『すずめの戸締まり』 感想

震災を描く 新海誠監督の覚悟と挑戦

物語のある場面や根幹に東日本大震災を思わせる内容が描かれています。

例えば、映画やフィクションと頭ではわかっていても、災害がある存在によって引き起こされたという部分など「観る人によっては、辛く感じることもあるかもしれない」と思いました。

映画の特典!?でもらえる新海誠本(映画の企画書)を読むと、本作品について、新海監督は「君の名は。」「天気の子」を経た今だからこそ描けた作品だったと語られています。

震災の記憶は日本人にとって忘れられないものと思いますが、それを扱うことに賛否両論が想像される中、あえて今この作品を世に出すことに新海監督の覚悟と挑戦を感じます。


シリアスな中のコメディ要素

中盤の盛り上がりや後半へ続く途中に挟まれるテンポが変わったコメディ要素(日常の何気ない会話や光景)。映画を観てた時は少し中だるみを感じた所も正直ありました。

ただ、映画本編を見終えて「重いテーマを緩和する意図もあったのかな」という事と、加えて人間はどんな深刻な事態であってもそれは日常の一部であり「こうした日常の光景と緊迫した状況は表裏一体かもしれない」という感想も持ちました。


一期一会と人の優しさ

物語で主人公が出会う人達はとにかく皆優しいです。

現実で考えると、今のご時世は(特に都会は)いきなり会った見ず知らずの人を何の疑いもなく無償の愛で受け入れる事はなかなか難しいのではないかと個人的には思います。

昔は自分の子でなくても受け入れて地域全体で面倒を見たり、叱ったりする文化もあったと聞きますが、最近失われつつある人との繋がりや本来人が持つ温かさも映画の中にはある気がしました。


いってらっしゃい、おかえりなさい

最近は我が子も成長し、親の手を離れ一人で行動することが増えています。親としてそれを誇らしいと思う反面、少し寂しい気持ちだったり自分が知らない子供の行動や人間関係など心配な面も正直あります。

主人公の行動について、どうしても親目線で「これが自分の子供だったらあり得ない」と考えてしまう所もありました。

ただ、同時に子供を信じて「いってらっしゃい」と送り出してあげる。そして家に無事帰ってきたら「おかえりなさい」と迎えてあげる。ただそう言えるだけでも「今の時間は幸せなのかもしれない」と思いました。

最近考えるのは人生で子供と過ごせる時間は意外に短いという事です。高校進学で家を出る場合など巣立ちが早ければ15年くらい。大学で家を出る場合は20年前後と考えると人生の1/4程度しか一緒に居れないことになります。

主人公が色んな人達と出会った後、逆に送り出される別れのシーンでは、近い将来巣立っていくだろう子供の姿と重なり、胸熱くなりました。


あたりまえの日常の尊さ

勝手な想像ですが、新海監督が本作品で描きたかったのは「震災による主人公の喪失と人間的な成長」というテーマは主題にあると思いますが、同時に強く感じたのは「あたりまえの日常の尊さ」ではないかという事です。

大切な人や家族に「おはよう」「おやすみ」「いってらっしゃい」「ただいま」と挨拶を交わせること。無駄話したり、時には喧嘩できるのも相手がいるからです。

普段これらの日常に特別感はないと思いますが、前向き後ろ向きな理由含めて近い将来一緒に暮らせなくなるかもしれないし、ある日突然、事故や災害でいなくなってしまうこともあるかもしれない。

そう考えると、今ある日常は当たり前にずっと存在する訳ではなく、人生の限られた期間であり尊いと思ってしまいます。


最後に

地球の歴史で考えると今の大陸や地形の姿は一時的なもので、災害に見舞われてきた日本は自然と向き合ってきました。ただ、それも社会構造の変化や科学の発達で直接感じることは減り、自然災害が起こっても喉元過ぎればの感覚で普段は忘れていると私も感じます。

以下、『すずめの戸締まり』を観た感想と気づきです。

・今の世界は予期せぬ出来事と隣合わせで薄氷の上に成り立っている
・今ある日常は決して当たり前ではなく尊い

映画の評価は様々な感想を見かけますが、自身の眼で確かめた結果、ひとりの時間、大切な人や家族と過ごす時間、そして1日1日を大事にしたいと改めて思えたことが自分の中では大きかったです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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