最近読んで面白かった本の感想(2024/8/15~9/15)
思ったことを言語化するのが苦手なので、鍛錬も兼ねて面白いと思った本の感想をアウトプットしていく
自分用です
今回は2冊
フェミニズムについて語ってる人がこぞっておすすめしているなあ~とぼんやりTwitterで題名だけ見かけていたので、何もあらすじを知らないまま図書館で取り寄せたら、分厚さに卒倒しそうになった。こんなに字も小さい……難しい話かもしれないし……私には読み切れないかもしれない……とおそるおそるページをめくっていったらそんなのは杞憂だった。
一時期暇すぎて旧約聖書を読んでいたとき、子供ができない奥さんが旦那に「私の侍女と子供作って!生まれた子を私らの子にしましょう」っていうストーリーが出てきて「奥さんやばすぎ……これ侍女は何を思ってそんなこと了承するんや……」と思っていたその気持ちを代弁してくれたような話だった。
時代設定も何も知らないのでタイトルだけで「中世ヨーロッパとかの話ですか?」と思っていたから初っ端で『ワニス塗りの体育館』が出てきて「??????」と混乱した。待って……異世界転生???なろう???とオタク脳で処理しようとしてたけど、読み進めるうちに「これ……現代の話だけど、ディストピア世界の物語なんだ!」ってちゃんと理解できた瞬間のアハ体験が心地よかった。正しい表現ではないかもしれないが、遺跡を掘り起こしていたら明らかに現代科学のようなオーパーツを発見して超古代文明はあったのかもしれない!とぞくぞくするような謎解き感覚があった。「こんな前時代的な法律のある国の設定が20世紀なわけがない!!!!」と脳みそが拒否反応を示していたんだと思う。登場人物たちも「そんなことがまかり通る訳がながないじゃないか!HAHAHA!」(※そんなことは言ってない)って能天気だったのにどんどん不穏な情勢になっていって気が付いたらもうどうやっても逃れられない環境になっているの怖すぎたし、リアリティにぞっとした。何か選択を間違えたら、いつか本当に起きる世界の話にも感じたし、実際私が無知なだけで世界に目を向けたらこういう環境で暮らしている人もいるんだろう。
あと、「絶対にこんな危ない橋を渡ったらあかんやろ!!!ばか過ぎんか???」って鑑賞者の側からは冷静に思えるのに、どんどん「分かっちゃいるけどやめられない」にハマっていく心理描写、自分では中々書けないので神視点でハラハラドキドキしながらも、出来るだけ共感しようと思って読んでみた。
生きていると「分かっちゃいるけど」の連続なのに、いざ何かドラマやら小説やら物語を鑑賞する側になると冷静になるのズルいよなあ。現実世界でこそその冷静なブレーキ踏んで欲しい。でもやっぱ他人事だから冷静になれるんだろう。
ストーリー展開が面白いのに加えて文章が分かりやすくて特に心理描写がするする入ってきて読んでて気持ちよかった。海外の小説って比喩表現がくどすぎて途中から何を読まされているのか分からなくなって疲れることが多いけどこの話はすごく読みやすかった。
ディストピア小説は読むとしばらく悪夢が続くけど、夢から醒めるとちゃんとこっちが現実だって分かってうれしくなるのがいい。
ずっと気になってはいたけど、めちゃくちゃ分厚いし、字もちっせぇし、なんかややこしい設定っぽいし~~~、、、と悩んでたけど、衝動的に読み始めた。結果大大大大正解!!!!!!なんだこれすgggっごいおもしろい。知らない世界なのに「分かる」。脳みそに直接別世界の思考が流し込まれている感じ。長さなんか気にならないくらい面白くて夢中で読んだ。
人間を滅ぼしたあとに生き残った『人類』の、蟹と蜘蛛に似た生き物が主人公。身体の側面に並ぶ鼻を閉じるとか、胃が3つあるとか、そういう人間と全然違う肉体の生き物の目線なのに、すごくシンクロできる。最初は故郷を追い出された主人公が放浪の旅を続ける冒険話かと思ってた(※またしてもあらすじをまともに読まずに読み始めている)のに、陰謀やら侵略やらで、きなくさくなってくるのも面白いし、何より世界観が面白過ぎる。
地球にだって多種多様な生物はいるけど、知能が高くてコミュニケーションを取り合えるのは人間だけ。でもこの星では肉食種族の食糧になる種族も言葉を喋って、同じ社会コロニーの中で共生している、というのもぶっとぶ。家畜ではないけど、一定数自分たちの種族から食料として身体を差し出すという決まりがあったり。女に性転換したり、男と女の間の性別になったりもするし、目もひとつの種族もいれば、主人公のように左右前後に四つ目がある種族もいる。肌の色どころの騒ぎじゃない多様性。
読み進めるうちにどんどんこの星の種族(作中では蘇倶)たちとその生活に共感と親しみをおぼえていって、「この世界を壊すな~~~」とすっかり人類よりも肩入れしてしまった。
特に主人公の人柄(ひとがら?)が良かったのもある。ラホイ蘇倶(族)の肉が大好物なのに、命を助けられた恩義からラホイの男と義兄弟の盃を交わしてしまい、それ以降ラホイを食べないように頑張っている描写が健気で愛おしかった。ラホイは必須栄養素なので、ラホイを食べないせいで身体がどんどん弱っていくし、毎日毎晩すごくお腹がすくもんだから、ついつい義兄弟を食べてしまう夢を見て泣きながら起きるとことかすごくグッときたし、「これもう我慢できなくて食べちゃうんじゃない!??!」って超ハラハラした。特に結婚式に呼ばれて、親族のラホイたちに囲まれてる時とかもう気が気じゃなかった。頼む、食うな、頑張れ、って本を握る手に汗かいた。
主人公は追放されるまでは偉い人だったのでふんぞり返っていたのに、義兄弟と出会ってからは、別の蘇倶(種族)の顔すら見分けがついていなかったことを反省して、ラホイだけじゃなく他の種族にも敬意と誠意をもって接するように努めていることもすごく好感が持てた。
元々権力を持っていた者が、その共同体を追放されて飢えて死にかけて散々な目に遭い、その先でかけがえのない仲間を見つけ、故郷に戻ったもののかつての威光を失くしただけでなく理不尽なくらいに疎まれ蔑まれ憎まれ時には暴行を受けたりとひどい目に遭いながら、過去の自分の行いを反省したり、新しいことに目を向けて成長したりしながらひたむきに頑張る、という転落からの成長展開、、、、やっぱ胸が熱くなるなあ。
威光が誇らしいものであればあるほど、それを失ったときのみじめさや理不尽な蔑み、心に爪を立てられたみたいに響く。私は「転落」とか「落ち目(落ちぶれる)」「理不尽さ」みたいな展開が好きなんだな、って気が付いた。理不尽さに義憤を感じるときって変な脳内麻薬が出てる気がする。
あとやっぱ「自分のことを餌だと思ってる人種がうじゃうじゃいる世界」で働くのばちくそこわ~~~~~~!!!!!って思いながら読んでた。こわすぎる。商店街みたいなとこ行ったら自分の親戚の死体とか赤ちゃんの死体とかが軒先にぶら下がってるお店がある訳でしょ???
あと「君めっちゃうまそうだね~~~」とか道端で声かけられる可能性ある訳でしょ???なんぼ「不同意で食ったらダメ」って法律で決まってても「酔った勢いで食っちゃったてへぺろ」もある訳でしょ!???無理すぎる!!!!どうせ食われるからいっぱい子供産んどけっていう生き方も嫌過ぎる、、、、ズァンググ蘇倶の主人公の視点からみたら、ズァンググは強いし頑丈だから滅多に死なんしエリートだし人生たのし~~って感じだけど、ラホイ族に生まれたらディストピア過ぎて辛すぎる。
あらためて思ったけど感想書くの苦手だ
おしまい