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笑顔の応酬

電車待ちの列に先頭で並べた。
この位置なら確実に座れる。
仕事帰りだし、長椅子に座って執筆するか、居眠りするか、あれこれと考える。

電車の乗ると思惑通り座れた。
ぼくの隣にはお若い女性。

ぼくは気が付かなかったのだが、その女性がお年寄りの女性に席を譲った。

よく見てみると旦那様が近くに立っていた。

ご夫婦で隣同士に座って電車に揺られれば、楽しい時間を過ごせるだろう。

しかしせっかく先頭で並んでゲットして、座ったばっかりなのに、それにぼくだって年配者だ。

ご夫婦の楽しい時間 vs ぼくの残念な気持ち

勝者は前者だ。
ぼくは旦那様に席を譲ってあげた。

少し後ろ髪が引かれたが、ご夫婦がにっこり笑ってお礼を言ってくれたので、後ろ髪がすっかり解放された。

老夫婦のうれしそうな笑顔を見たら、一瞬でも迷った自分が恥ずかしく思えた。

居眠りは諦めて、吊り革を持ちながら執筆をすればいい。

先に席を譲ったお若い女性が、ぼくの方を見て気まずそうな顔をしていたから、ぼくも老夫婦に負けない笑顔を返しておいた。

「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。