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定期同額給与の支給日と未払計上。総会開催日と支給日を適当に決めないように
役員による役務提供期間
従業員の場合、「4/1~4/30」分の給与を翌月25日に支払う、といった形で従業員から会社への役務提供(労働)期間は日割りで考えることになります。雇用契約だからです。
役員の場合、必ずしも同じ様に考えることはできません。
役員給与はその職務執行期間における職務の対価と考えられており、職務執行期間は一般的に「定時株主総会の開催日から翌年の定時株主総会の開催日までの期間」であると解されているためです。
つまり、定時株主総会の開催日が月の1日でない場合、理論上は従業員の役務提供期間と一致しないことになります。従業員による役務提供(労働)期間と、役員による役務提供期間が異なっており、これを同一基準で未払計上していいのか?ということです。
役員給与の未払計上はNGなのか?
現実には従業員と役員とで給与の支払日などを足並みを揃えている会社が大半ではないでしょうか。
1か月ごとの職務執行期間が経過している(=債務確定)ことが前提になりますが、役員給与の未払計上がNGとは言えない根拠もあります。
施行令69条を読むと、以下の赤い期間における支給額が同額で、青い期間における支給額も同額であればよい、とされています。
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▲=支払日です。ケース4の場合、赤い▲と青い▲は全て同額になり、条文上の定義に合致しています。
さらに、通達によれば定期同額給与の意義として「あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいう」とされています。
当てはめれば、「あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)」(月末締め、翌月20日払い)に基づいて、月以下の期間(毎月)を単位として規則的に反復又は継続して支給(役員給与を毎月未払計上し、翌月20日に支払っている)しているわけですから、何ら問題ないとも考えられます。
役員給与は未払計上しない
これが一番シンプルです。
そもそも何故ご自身が役員給与を未払計上したがっていたのか考えてみてください。大した理由はないのではないでしょうか。どのみち従業員給与と支払日は同じであとは会計処理の問題なのだから、未払計上する意味もないはずです。
月ごと職務執行期間の経過を待ってから未払計上
職務執行期間の経過=債務確定と考えられますので、職務執行期間の経過を待ってからにしましょう。
定時株主総会開催日を毎年1日にする
たとえば6/1を毎年の株主総会開催日にしてしまいます。土日祝日だろうが必ず6/1を開催日にします。
そうすると、役員の職務執行期間(最初のひと月目)が6/1~6/30になり、これが翌月(7月)払いだったとして、6/30に未払計上しても文句のつけようがないことになります。
ただ、ここまでする事業者はいないと思われます。
やめた方が良いケース
「毎月25日締め、翌月払い」などにすると状況がややこしくなり無駄なリスクを負うだけですので、こういう風に変なところで締めるのはやめた方が良いです。