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冬の乗算 [Leica M10-P - Hektor 135mm]
砂浜を歩くのが好きなようだ。ノイキャンをONにしたヘッドフォンで外界の音を遮断し、オーラヴル・アルナルズの『Old Skin』とシンクロしながら、ゆっくりとそしてたっぷりと周囲のパロメーターに同期していく。
夏と比べると、冬の砂浜に訪れる人々には、どこか物語性を強く感じる。
一人落ち行く太陽に向かって歩くおじいちゃん。
子供たちを連れて波打ち際で走り回るお父さん。
荒ぶる日本海にダイブしていくサーファー。
夕日を眺めるカップル。
犬と散歩している老女。
彼らが「冬」という値と乗算し光を纏い、誘われるようにシャッターポイントに入り込んできた瞬間に、息を止め切り取る。
絵に、物語が宿りますように。
本記事の写真はすべて、Leica M10-P - Hektor 135mmにて撮影。