【授業・研修のレシピ】 ゲームの要素を取り入れる
近年,「ゲーミフィケーション」という用語をよく耳にするのではないでしょうか。ゲーミフィケーションとは,ゲームではないもの,たとえば授業や研修にゲームの要素を取り入れることです。そうすることで,あまり楽しめないものや,続けることが難しいものへのモチベーションを高めることができるというのです。
学生をみていると,ゲームは楽しそうにやっているのに,授業は楽しそうでもないし,集中力も続いていないようにみえます。
そこで,ゲーミフィケーションとまではいかないですが,手軽に使える「トランプ」と「サイコロ」を取り入れてみました。
トランプ
50人までの人数のときには,トランプが便利です。
まず,学生にトランプを1枚ずつ配布します。トランプには4種類1〜13枚の数字,さらにジョーカーがありますが,どれがあたりでもはずれでもありません。教員は学生に配布したトランプと同じもの持っているようにします。
授業では,学生一人ひとりに発表してもらうわけにいかない場合が多いでしょう。そこで,トランプの登場です。教員は手持ちのカードを引いて「スペードの7の人」などと言って発表者を指定します。また「7のカードをもっている4人」でもよいでしょう。数字でもいいですし,絵柄マークでもいいです。教員が引いたカードを持っている人に発表してもらうということです。
また,トランプは,グループ編成をしたいときにも活用できます。学生の人数に応じて,数字ごと,絵柄マークごとに集まるなどの工夫をします。
サイコロ
大規模授業のときには,サイコロが便利です。
サイコロは3〜4つあるとよいでしょう。たとえば,階段教室での授業だったとします。ワークの内容を発表してほしいと思っても,多くの学生は自主的に手をあげてくれません。そこで,サイコロの登場です。私の授業では「サイコロタイム」と呼んでいます。まず1回目のサイコロでは「右から○番目」,2回目のサイコロでは「前から○番目」というふうに座席を指定します。その指定された座席に座っている人が発表するということです。
適度な緊張と緩和のバランスを保つ
ゲームの要素を取り入れた授業を実践して,感じたことが2つあります。
一つは,「適度に緊張感が高まった」ということです。学生は「いつあてられるかわからない」という状況下で授業を受けているため,サボるわけにはいきません。なので,授業中に携帯をいじったり,授業に関係ないことをすることがずいぶん減りました。
もう一つは,発表の時間が「楽しそう」ということです。あてられた学生は「えー」「あたった」「ツイテナイ」など,反応はさまざまです。しかし偶然あてられたわけですので,案外すんなり発表してくれます。
一方,あてられなかった学生は,「よかった」「あぶなかったー」などスリルを味わいつつ,しっかり発表を聴いてくれています。
また,トランプやサイコロを使うと,まんべんなくあてることができます。なので,実はスピーチが上手な学生がいたり,おもしろいエピソードをもっている学生がいたり,毎回新たな発見をすることができます。
授業中,ずっと集中しているのは難しいことです。だからといって,授業に関係のないことをしたり,だらだらしたりするのはよくありません。適度な緊張と緩和のバランスが重要なのかもしれませんね。