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絶望的な師走の夜に月を探したいこと
誰もが忙しい師走、健やかに過ごせていらっしゃいますか?
私は昨日発狂しました。
ワーキングマザーという割と忙しい類の人生を送っておりますと、自分の時間がありません。
天候不順、PMS、親知らず抜歯、連日ワンオペが重なりいっぱいいっぱいでした。
仕事中もむやみに涙が出てくるし、前日はなかなか寝ない息子に耐えられなくなって、離れたら泣くとわかっていながら急に夫に丸投げしたり。
メンタルが紙どころではなく、ちょっとした夫の冷たい言葉にわんわん泣いたり。
それはどう考えてもネット通信が遅くて苛立ちモデムの電源をぶち抜いてWi-Fiを一時使えなくした私が悪いんですが……普段そんな風にイラつくことはないので既に異常事態だったんでしょう。
色々反省しています。
こんな時こそエンターテイメントの出番です。
さぁ、楽しい気分になりましょう。
今朝は好きなアイドルゲームの楽曲を聴いて、来月のライブに思いを馳せ、うきうきわくわく。
雨も電車の遅延も歯の痛みも、この時ばかりは吹っ飛びます。
1月なんてまだ先だと思っていたのに、気がつけば来月。
どんなに忙しくても、楽しみな予定がひとつあるだけで、生活にハリがでますね。
絶望的に忙しい方には、数ヶ月後に楽しい予定をねじ込むことをオススメします。
しかし中には音楽も、映画も、本も、なにもかも、とても楽しむ余裕なんてないし、好きなものもない、という方もいるかもしれません。
でも、綺麗なものは身近にあります。
いつも通る道に花は咲いていませんか?
この時期、イルミネーションを張り切るおうちはありませんか?
スーパーではりんごがいい香りをさせているかもしれませんね。
私は、割と月が好きでした。
そう、夜空にぽっかりと浮かぶ月です。
打ちのめされて俯きながら歩いている夜も、疲れて一刻もはやく帰りたい夜も、涙がこぼれそうな夜も、見上げれば月があって、その瞬間はただ「ああ綺麗だな」と思える。
実のところ「ああ月だな」くらいしか考えていないのですが、どんな一日だったとしてもただ一瞬綺麗なものに向き合える時間があるだけで随分救われ、満たされ、ほっとするような気がしました。
こういう一瞬をもてているうちは大丈夫だし、こういう一瞬のために生きて、綺麗なものをみて、吸収して、感性というようなものを耕しているのだと思うのです。
そういった一瞬を得るために、文学は最高のお手本でした。
平安貴族とか、きっと暇で他にやることなかったんだろうなというくらい自然を見つめ続けているので、そんな見方もあるのかと新たな知見を与えてくれます。
例えば、源氏物語か何かで白菊の枯れかけて色が変わっているのがなんとも良い、といってるのを読んだ時は、白いツツジが枯れかけて茶色くなっているのを汚いと感じる私には驚きでした。
そういう見方もあるのだなぁと。
高校時代に読んだので、色々と勘違いがありました。これはすべての花にいえるのではなく、菊のみ、そういう姿が優美であるとされていたそうです。なのでほかの花に置き換えて考えるのは的外れでしょう。さらにその時はわからなかったのですが、今、菊の霜焼けや「移ろい菊」を調べてみると確かに紫がかって趣がある。でもその菊だけが特別、痛んで色が変わっている姿も良い、という感覚が当時の私には意味不明すぎてインパクトがありました。桜も散るのが良いのにねぇ。
菊のみがもつ佇まい、歴史、命の移り変わりのはかなさ、健気さ、不可逆性、絶える寸前の抗い、わずかな衰えのなんともいえない味わい、単純に紫がかった色彩の美、秋という季節との似つかわしさ、そして、それらの移ろいを人の心にも重ね合わせたのだろうかと、自分なりに想いを巡らせます。
思い起こせば、そういった感性を刺激し、没頭できるもの、真理や美のようなものを見つけるのに、スポーツも音楽も芸術も科学も哲学も何でも役立つけれども、私の場合はそれが文学だったので、国語科の教員を目指したのでした。
ならなかったけどね。
美しいものに触れることは喜びであり、没頭は至福である。
私の場合は。
どんな日でも月を見上げればひとつは良いことがあった日になったように、自分なりの拠り所を、一発逆転ホームランを心にひとつ、持っておくと人生少し楽になるかもしれません。
子育てを始めて計算違いだったのは、月が出る時間帯に出歩くことが極めて少なくなったことです。
ああ、私の、心さやけき夜空を見上げる時間はどこへ。
日が沈むのが早くなったので期待していたものの、今日は曇っていて見えませんでした。
別の、何かを見つけるか、どうにかせねば。
ひとまずは息子の顔をみて癒されることにします。
(可愛いですが、可愛いだけでは片付けられないこともあるのが難しいところです。
でも、ああ、信じられないほど可愛い。奇跡かしら。)
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