どうせ行くならただのカフェよりコラボカフェ!「BANANA FISH Cafe and Bar」in表参道の工夫
年末に「BANANA FISH Cafe and Bar」に行ってきました。
このために生きてきたぁ!!!!
12月29日という年の瀬に行きましたが、コミケ開催中にもかかわらず終日予約で満席でした。
「BANANA FISH Cafe and Bar」とは
2018年に放送されたアニメ「BANANA FISH」のコラボカフェ第2弾。
今回は<ウィンター・イン・ニューヨーク>をテーマに、作品に関連したメニューを提供。内装も作品仕様。
原作は1985年〜1994年に連載された漫画で、長年に渡り高い人気を誇る。
前回の新宿に続き、今回は表参道という一等地での開催。
どう考えても「BANANA FISH」ファン以外来ないのに大丈夫なのだろうか。
しかし訪れてみると、カフェ業の難点である
■客単価が低い
■回転率が低い
→収益が上がらない
という問題をなくす仕組みが沢山あって、大盛況でした。
入口まで絵が展示されがていて気分が上がる
■「客単価が低い」を覆す『1フード注文必須』
こちらのカフェは「1フード注文必須」です。ドリンクではなく「フード」です。(デザートも可)
メニューはフード、デザート、ドリンクと幅広く、1フードのみでも1290円〜1990円、フード+ドリンクで大体2200円〜3000円くらい。
最低でも千円以上の客単価が見込めます。
年末年始の開催だったので、クリスマス限定メニュー「NYクリスマスディナー」やお正月限定メニュー「英二のふるさとお雑煮セット」もありました。リピートしたくなるやつですね。
私はフード+デザート+ドリンク2杯を頼みましたが、味も良く、見た目も綺麗で美味しかったです。さすが表参道。
後ほど詳述しますが、作品に深く関連したメニューは特に胸熱でした。
ちなみに私は友人と2人で行ったのですが、ヘッダー画像通り「全キャラのドリンクメニューを並べたい」という暴挙に出たため、1人頭5000円くらい食事に使いました。
グッズと合わせると各自1万円弱くらいかな……。
■「回転率」を下げない『80分入れ替え制』と『事前予約』
さらにこちらのカフェは「80分入れ替え制」です。
空いていれば当日席で入れますが、基本的には事前予約を推奨しています。
全部で14回入れ替え。
当日席情報はTwitter公式アカウントでも公開。平日なら予約なしで入れる場合も
土日は予約で席が埋まってしまうことも多く、私も予約をして伺いました。
ネット上で予約するのですが、その際に1名あたり税抜650円のサービス利用料?がかかります。
予約するだけでお金がかかるのでこちらも真剣。予約すると、事前予約者限定の特典チケットファイルが貰えます。
画像は公式HPより
最初はこれ要らないからお金かからなくしてくれないかなぁと思ったのですが、来場特典の「フィルム風ブックマーカー」やコースターの保管に便利だったり、デザインが良くて実際手にしたら満足でした。
右下2点の一見作品ロゴだけのデザインに見えるものを友人が引いたのですが、ペラっとめくるとあるキャラクターがおり、そのデザインが凄く良かったんです。良すぎてびっくりした……あれが貰えるなら予約料も悪くない。
来場特典の「フィルム風ブックマーカー」も、台詞が浮かぶほどの名場面ばかりで、このカフェ本気でファンをころしに来てるなと思いました。満遍なくキャラを揃えるとかしないところもすごい。
話を回転率に戻します。
カフェ内は段差を設けて左右2つの客席に分かれており、交互に入れ替えを行なっていました。
1回につき25人くらい入りそうでしたでしょうか。仮にそうだとすると、終日満席なら25名×14回=350名/日動員。
事前予約をしているので、無駄なく座席を使えていました。4人席に2人で座る、というような事は無かったということです。
1人で予約すると相席となる場合もあります。
・80分入れ替え制で長居防止
・予約で人数把握&効率の良い座席配置
この2つが回転率を良くする工夫かと。
ちなみに80分というのは、食べて飲んでグッズ買ってお喋りしているとあっという間で、少し忙しいくらいの時間です。無駄なくちょうど良いとも言えるでしょう。個人的にはあと10分あると嬉しいかな。
■オペレーションの工夫
さらに、人件費も気になるところ。
こちらのカフェでは下記のような導線になっており、スタッフさんも無駄な動きが少なくて済みそうだなと思いました。
・注文は入店前の1回のみ(追加、オーダー変更不可)
・来場特典やドリンクにつくコースターは入店時に該当数を客が引く
・テーブル会計
・グッズ購入は、整理券番号ごとに呼び出し、購入機会は1回のみ
他のアニメコラボカフェでは、グッズは滞在中何度も買えるところもあります。
その場合「推しが出なかったからまた買ってくる!」ということができてついグッズを買いすぎてしまうのですが、その分在庫も必要ですし、レジに列ができることも。
今回のカフェでは、入店時に整理券が配られ、「グッズ販売のご案内です。何番〜何番の方、いらしてください」というような形で呼び出されるので、購入できるのは1回のみ。
グッズコーナーに人が溢れてしまったり、レジが混雑することもなく快適でした。
■ファンが喜ぶ!コラボフードメニュー
私は今回「張大飯店のテイクアウト炒飯」「NYマフィンプレート」「アッシュドリンク」「月龍ドリンク」を頼みました!
「張大飯店のテイクアウト炒飯」は食べたくて食べたくて仕方なかったんです!
というのも原作漫画で、ストリートチルドレンである主人公たちが度々紙製ボックスに入ったテイクアウト飯を食べていたから!!
『BANANA FISH』小学館 7巻より
やっぱり私たちオタクは作品世界を追体験するような仕掛けが大好き!
ずっとこういうの食べてみたかった。
「張大飯店」は登場人物のひとりであるショーターの実家の中華料理店。
イメージする大衆的な味とは違って、ちょっとオシャレな味わいでした。表参道だしね。マーディア(ショーターの姉)が作ってくれたという設定チャーシューが美味でした。クレソンが立派だったなぁ。野菜が取れるメニューが多いのも良かったです。
そしてこちらがデザートの「NYマフィンプレート」。
華やかで美味しそうですよね。
写真ではわかりづらいのですが、銀製の高さのある土台の上にプレートを載せていて、特別感が凄かったです。
土台が出てきたときは私も周りもザワザワしました。
さすが李家の御子息。
ピスタチオのクリームが美味しかったです。左上の赤いものがトマトに見えて戸惑っていたら「いや焼きリンゴでしょ!」と友人に笑われました。
美味しい焼きリンゴでした。良かった。実はトマトが少し苦手です。
そしてドリンク全種ドーーーーン!
オタクの豪遊ですね。
ストローが紙製。時間が経つとやわらかくなってくるぞ。
最初はアッシュと英二の2杯を並べたいがどうしよう、と悩んでいたのですが、「いや、お互い2杯ずつ頼んだら4杯じゃん?ドリンク全部で5種じゃん?だったらもう全部頼んじゃわない?」という友人の太っ腹な提案によりこのような運びとなりました。
オタクのあほなノリ好きです。
彼女はいつの間にこんなになってしまったんだろう……。
ドリンクのクオリティも高かったです。
まずこのアッシュと英二のドリンクがたまりません。
見よ、この魂の比翼感。
育った国も環境も、目の色も肌の色も髪の色も全く違う2人が、むしろだからこそ真っ新なところからかけがえの無い関係を築けた、そんなことを、配置も色味も真逆だけれども同じカラーリングが象徴しているようではありませんか。
私はBANANA FISHをBLの文脈では読んでいませんが、たまりません。
この2つはつい並べたくなります。
うっ、尊い……。
また、「月龍」のドリンクは、古今東西の毒物についての知識を持つ彼らしく、見た目はどこか毒毒しくも可愛い、甘いドリンク…と見せかけて入っているハーブを噛んでしまうと苦味が口に広がるという、なんとも彼らしい最高の一杯でした。
ちゃんとキャラクターの特徴を捉えたメニューはファンとしてとてもテンションが上がります!
■彼らがここに!ファン歓喜の内装展示
内装も落ち着いた店内にキャラクターのイラストを入れたり、<ウィンター・イン・ニューヨーク>のテーマ通り、窓枠の外に雪のNYが描かれたりしていました。
しかし何と言っても一番の見どころは【アッシュと英二の食卓】ではないでしょうか。
漫画でいうとこのシーンの再現です。
『BANANA FISH』小学館 8巻より
見た瞬間、「あぁ……あ……2人が…、英二とアッシュが、ここに居た…あ…ぁ………ここに………ここに……いる……」となりました。
頭からバリバリ食べた魚、アッシュが苦手な納豆ごはん…トーフディップベーグル…素晴らしいです。
私がコラボカフェに最も求めることは「作品世界の追体験」なので感動しました。
次元の壁を越えてきてくれてありがとう、ありがとう!
他にも
・大スクリーンでのアニメ放送
・アフレコ台本展示
※週替わり
がありました。「BANANA FISH」は基本的にどこをとってもハードな話なので、流れるアニメを見ながら時折「あぁ……」というファンの声が各席から漏れていたのも面白かったです。
■財布がゆるむ!グッズ販売
グッズはその多くがランダムです。
ランダムとは、中に何が入っているかわからない状態で売り買いする、ということ。
このランダム販売、大抵のオタクは嫌いです。欲しいものだけが欲しい。
▲グッズの一例
詳細はhttps://bananafish-cafebar.jp/goods/へ
今回あまりにもランダムが多いので、グッズはあまり買わないでおこうと思ったのですが、
・1回しか買えない
・ここでしか買えない
・カフェの楽しい気分
・実物を見たら思ったよりアクリルバッジが大きかった
という理由で、気がついたらこう。
卓上カレンダーは元々買うつもりだったのですが、その他も案外買ってしまいました。
バッジは、前のコラボカフェで買ったトートバッグに付けたら可愛いかなと思い、つい……。
やはり、「カフェ利用者しか買えない」「会計も一度きり」という限定感は買わせる力があります。
ふらっと寄って買えるものじゃない。
後で後悔しても手遅れ。
と思うと、つい。
実物を見たら買ってしまっていました。悔いはない。
オタクの中にはコンプリート欲のある人もいますので、ランダム販売と3500円以上買うとポストカードが貰えるサービスは、リピート&大量購入も促しています。
■作品を「カフェ」にきっちり落とし込んだ愛と敬意に感謝!
コラボカフェという、ターゲットが限られる業態の中で利益を上げる工夫をみてきました。
「誰もが思い浮かぶけど、お客さんのことを考えてやらなかったこと」が多いのかなと思います。
とはいえ、混雑時は時間制限がある店や、ワンドリンク注文必須なお店は結構あるもの。
子連れOK、その代わりお子様向けメニューを用意してあるから、お子様も含め1人ワンオーダーお願いしますね、というカフェにも行ったことがあります。
お客様のことを考えると、あまりあれこれ制限を設けられない、という方もいるかもしれませんが、案外なんとかなるかもしれませんよ。
ただし、これら全てが成り立つのも、ファンの心を押さえたサービスを展開しているから。
人気作のコラボは作品の力があるとはいっても、客もファンなので、適当なコラボや浅い企画はすぐわかります。
それでも行っちゃうのもファン心理ではありますが、できたらちゃんと楽しめる幸せなコラボが良い。
前回今回のコラボカフェでは、作品世界をカフェの内装、メニューにきっちり落とし込んで、楽しませてくれました。
表参道にはあまり馴染みがなく、やや緊張したのですが、少し奥まった場所にあって落ち着けましたし、おしゃれで高級感ある街のテイストも味合わせてくれる内容で良かったです。
東京での開催は終わり、次は1/23〜3/1まで大阪での開催となります。
大阪では展示内容が東京と異なる部分もありますが、大阪限定グッズがあったり、バレンタイン限定メニューがあったりと、変わらず求心力は高め。
大阪限定グッズって毎回かわいいんですよね。遠征する人もいるんだろうな。
私にとって好きな作品のコラボカフェは、ディズニーランドのようなもの。
ちょっと高くても、多少行きにくくても、忙しくても、それでも行きたいワンダーランド。
とっても素敵な場所でした!
第三弾も開催してくれたいいな。
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