超加速の時代に妊娠出産子育てという原始的なことをしていて見えてきたもの
最近こちらの本を読んだ。
まだ子どもが小さく、育児仕事に追われる日々なので、読んだと言ってもザクザクページをめくり、気になったところを読み、心に残ったところだけを記録するというとても都合の良い読み方だ。
p368 (一部省略のうえ部分抜粋)
p370
p429 ヘザー・マゴーワンの言葉
こんなところが気になった。
もはや学校教育で学んだ知識のみで一生をやりくりするのは難しく、学習習慣をもち、時代の変化に負けない速さで走り続けなければ、ミドルクラスの生活を維持することもままならない。
しかも、読み書きに加え、「数学」「コーディング」を基礎として確実に身につけた上で、クリエイティブさや周りと協調する力も必要だ。
その厳しい現実は確かに日々肌で感じているところである。
チャンス、スキル、賃金の伸び悩みに頭を抱え、未来を生きる子を育てる中で、参考になる部分も多かった。
とはいえ。
そっかーー、まじかぁ、いやまじキツイわーーー、勉強の時間なかなかとれんし。
子育て中の人間はどうしろっていうのさ!
もっと楽な時代に生きたかったわーーー。
なんて思ってしまうのも正直なところ。
でももうこの時代に生まれちゃったから仕方ない。どの時代にもその時々の苦悩があったでしょうしね。(ベーシックインカムはよ!)
一方で、このクソ加速の時代に子育てという超レトロなことをしているのが、妙に面白くも感じたのです。
妊娠出産育児は私にとって、とても興味深い体験です。
インテリジェンスなんて、肉体に刻まれたプログラムの前では無力、というつわりの時期に感じた実感は、それはもう頭に水をぶっかけられその上ハンマーで殴られたような衝撃でした。
食べたいと思っても、おいしいと思っても、吐きたくないと思っても、吐くわ吐くわ、吐きまくる。
胃液まで吐く。
私の意志なんて関係ない。
ガリガリに痩せ(当社比)、いっそ殺してほしいくらい辛くても、お腹の中で子はちゃんと育っていて。
ほんと不思議だった。ミラクル。
それ以外にも急に嗅覚が鋭敏になったり、体質が変化したり。
実にアメージングです。
例えば私が最新のITテクノロジーについて高度な知識を持ち、4か国語くらい操ったとしても、つわりは止められないし、妊娠期間を5ヶ月に短縮することはできません。
どんなに強靭な意志を持っていても同様です。
知識も意志の強さも、肉体には勝てない。
産後、夜間授乳をひとりでこなしていた時期は、睡眠不足はこんなにも人を破壊するのかと思いましたし、今のところ人間の赤ちゃんが首が座った状態で産まれてくることや生まれ落ちてすぐに歩くことはないでしょう。
人間の体は、テクノロジーほど速くは便利に、高度に、変化していない。そう感じます。
これはビジネスの現場などで猛烈な嵐に揉まれていると見落としがちなのではないでしょうか。
頭をブンブン回し、時代はどんどん変わって、スピードは速くなる一方、スキルも向上し、経験は積み上がり、やればやるほど螺旋状に上昇していくような気分になる。あるいはひたすら必死に走る日々。
でも肉体はそんなにドラスティックに進化していません。
医療は進化しているので、肉体も進化しているような気がしてしまうんですよね。
私も、妊娠にトライするも授からず、チョコレート嚢腫と多発性子宮筋腫を取り、帝王切開で出産、産後も出血が多かったりして少しバタバタしたので、医療の進歩があったからこそ今子育てできているんだなぁと、組み合わせの妙みたいなものを感じたりしています。
でも、手術、出産、ありえない睡眠時間を経て、確実に体はダメージを受けましたし、精神的にも追い詰められました。社会復帰してからは少数派、すなわち弱者の立場となり、随分見える景色が変わったなぁと思うところです。
まず、肉体はテクノロジーほど進化していない。とても上手くできているけれど、脆い。一度壊れると完全に元には戻らない。
知恵も知識も意志の力も、肉体には勝てない。
だから、大事にしなければならない。
加速の時代といっても、我々の体はまだ寝ないで生きられるようにはできていないのを忘れないこと。
睡眠不足は容易に精神を破壊する。味方がいないと辛い。息抜きできないと息がつまる。
世界が自分にやさしくないのに、自分が誰かにやさしくするのは難しい。だから社会保障や環境づくりは大事。心の余裕は、正直、周囲の環境による。
それから少数派は、それだけで弱く、心細い。
そんなことが、妊娠出産を経て、みえてきたことだ。
これからの時代、変化は更に速度を増し、ぼんやりしていたら取り残されてしまうのかもしれない。
ますます気合を入れて走る人もいれば、とてもついていけない人もいるだろう。ついていけない人向けに新たなポジションが生まれる気もする。
そういった、新しい仕組みを模索していく中では、最先端の現実と、人間のすごく原始的で、変わらない部分との両方を見渡せた方が良いと思う。
何かともどかしいことも多い日々だけれど、こういうことは私は体験しないとわからなかったので、少しありがたくも感じている。
だから肉体から解き放たれる物語や、不老不死を求める話が描かれてきたんだろうなぁ。
私は、ままならないものがある人生もそう悪くないと思うので、肉体には勝てないと全面降伏し、いたわっていこうと思う。
はぁ〜なんとか、生き残っていきたい。
いき、ます。がんばろ。ほどほどに。
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