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街のティッシュ配りから大量にティッシュをもらってもOK?

今回はタイトル通り、街中にいるティッシュ配りの人からティッシュを大量にもらう行為について、法的に考えてみたい。

具体的には以下のような場面を想像してもらいたい。

<事例>
Xは甲社のバイトに応募し、街中で甲社の広告入りのポケットティッシュを無料配布する業務に従事し、1人で実際に通行人に対してティッシュを配布していた。そこにたまたま通りかかった通行人Yは、ティッシュを沢山もらいたいと思い、Xに対して「そのティッシュを沢山もらえますか?」と申し入れた。Xは早くティッシュを配り終えたいと考えていたため、「良いですよ。」と答えてティッシュを10パック程度Yに対して交付した。Xは「ありがとう。」と言ってそのティッシュ受け取り、そのまま立ち去った。

この場合、刑法的には、XYには甲社を被害者とする業務上横領罪(刑法253条)の共同正犯(同60条)の成否が問題となり得る。

これは刑法の答案じゃないので簡単に。

まずティッシュ配りのXさんが、ティッシュを自分で勝手にもらってしまった(領得した)場合には業務上横領罪が成立する。

これと同じように考えて本件でもXさんには業務上横領罪が成立すると考え得る。

そしてXと話し合ってティッシュを受け取ってるYも共犯(共同正犯)。

まぁ、ティッシュ10パック程度であれば、甲社にとってそんなに高い損害額じゃないから、可罰的違法性を欠くとして、業務上横領罪は不成立、とも考え得る。

また、同じ人Yにティッシュ10パックを渡しているとしても、Yがその後にこれを第三者に渡す可能性もある。

そうだとすると、甲社の本来の意図である広告の配布という目的は果たされると言え、これまた可罰的違法性を欠くとして業務上横領罪は不成立だろう。

というか、そもそもYにティッシュを渡している時点で、甲社の広告は甲社関係者ではないYに知れ渡ってる事になるから、一応最低限の広告本来の目的を果たしていると言え、可罰的違法性を欠くとも言えそう。

ここまで長々と書いてきたが、結論的には、ほぼ大丈夫だろうが、場合によっては業務上横領罪が成立し得る、といった感じになるだろう。

また、民事法上の法的責任についても、同じように考えられる。

結局の所、社会的に相当とされる範囲外の場合には、法的に責任を問われる事になるだろう。

例えば、上記事例で、XYが複数回にわたって上記行為を行い、合計何百パックものポケットティッシュをYが得た場合等には、その可能性が高い。

今回はこんな感じ。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

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