憲法答案の書き方その2(目的手段審査)
今回は目的手段審査について、軽くまとめてみようと思います。
以前noteの記事で書いた通り、争いはありますが、合憲性審査基準は3種類あり、これらを使い分ける必要があります。
厳格な審査基準、中間段階の審査基準、緩やかな審査基準です。
厳格な審査基準では、制約の目的がやむを得ない利益のためのものか、そのための制約の手段が目的達成にとって必要不可欠なものといえるか、検討します。
中間段階の審査基準では、制約の目的が重要な利益のためのものか、そのための制約の手段が目的と実質的関連性を有するか、検討します。
緩やかな審査基準では、制約の目的が正当なものか、そのための制約の手段が目的と合理的関連性を有するか、検討します。
ここまでは以前の記事の復習ですね。
さて、ここからが今回の本題。
上述のような審査を目的手段審査と言いますが、目的と手段、具体的にどうやって合憲性審査するの?って話。
目的審査に関しては、あなたが思う通り書けば大丈夫。
例えば、「本件規制は〜を守るという趣旨である所、〜は人々の生活にとって必要不可欠なものであり、本件制約は重要な利益のためのものと言える」みたいな感じ。
問題は手段審査。
手段審査では、目的手段間の適合性、必要性、相当性に着目しましょう。
適合性はその名の通り、本件制約によって、その目的が達成できるの?適合してるの?という事を検討します。
必要性は、その制約の目的を達するために、よりダメージの少ない別の方法は無いの?という事を検討します(より制限的でない他の手段、LRAの検討)。
相当性は、その制約によって得られる利益と失われる利益の均衡を検討します。
そして、厳格な審査基準では適合性必要性相当性全て検討しましょう。
中間段階の審査基準では適合性と必要性のみ、緩やかな審査基準では適合性と相当性のみ、検討すれば良いでしょう。
…こんな感じで憲法答案は書く訳ですが、これだけではわかりにくいでしょうから、以下に簡単な例を書いてみたいと思います。
医師法2条は、医師として働くためには医師免許を取得する必要がある旨規定していて、医師として働く職業選択の自由に対する制約があると言えます。
しかしその制約の目的は、主として国民の生命身体の保護、健康の維持促進にあると考えられ(同法1条参照)、本件制約の目的はやむを得ない利益のためのものと言えます。
また、免許制にすれば、免許を取得して医師になる者の医療知識等は最低限担保されるから、目的手段間の適合性があると言えます。
そして、より制限的でない他の手段は想定できませんので、目的手段間の必要性も認められます。
さらに、本件制約によって国民の生命身体の安全の確保といった利益が得られる一方、失われるのは医師になりたい者が自由に医師になれるという利益にすぎず、目的手段間の相当性もあるといえます。
よって本件制約は合憲と考えられます。
…以上、かなり簡単に、医師法を例に目的手段審査をしてみました。
参考になれば幸いです。
今回はここまで。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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