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会社における一大業務である要員計画。

多くの企業では、「去年がこうだったから、そこに+αで・・・」と現状起点で策定しまいがちな計画の1つです。

本来的には、自社の戦略や中計、はたまた事業のみならずHRの環境変化・トレンドも踏まえて、いくつかのシナリオに基づく計画も策定したいところです。

一方で、そういった多くの変数を踏まえて「これだ!」という計画を作るのはなかなか難儀です。

そこで、「要員計画を生成AIに作ってもらおう!」というのが本記事の試みです。

はたして、現行のChat GPT 4o(2024/12/5時点)はどこまでできるのか。試してみましょう。


この記事を開いていただき、ありがとうございます。グローネクサス代表の小出です。元デロイトで14年、最終的にはディレクターで多くの大手企業を支援していました。
現在ではグローネクサス代表として、主に大手企業における人材戦略・人材マネジメント策定やワークスタイル変革、リスキリングのお手伝いしています。


前提をしっかりプロンプトし、シナリオを作ってもらう

要員計画を策定するにあたり、前提となる値(定数)を設定しておくことが望ましいです。

一般的には、プロンプトのフォーマットもたくさん出回っていますが、本記事は「カジュアルに、形式にとらわれずに」チャットすべく、あえてそういったフォーマットは利用せずに行きます。



立場、企業の業績、従業員規模、単価を設定。なお、上記は架空の企業です

2027年の売上目標が1.5兆円とのことですので、要員数と人件費の計画は企業の売上成長戦略と経費効率化戦略によって大きく左右されます。

以下、いくつかのシナリオを提案します。

  1. シナリオA: 現状の人件費を維持しつつ要員数を増やす
    このシナリオでは、要員数を増やすことで売上増加を目指します。現状の平均人件費1000万円を維持しつつ、より多くの人材を雇い入れます。

    しかし、新たな人材を雇い入れると、その分経費が増えるため、要員数の増加は売上増加率に見合ったものでなければなりません。

    例えば、売上が50%増加することを見込むならば、要員数も同様に50%増加させることが考えられます。5000人から50%増で7500人となります。

    その場合の総人件費は7500人 * 1000万円 = 7.5兆円となります。

  2. シナリオB: 人件費を増やし、より高スキルな要員を雇う
    このシナリオでは、人件費を増やすことでより高度なスキルを持つ人材を雇い、一人当たりの生産性向上により売上増加を目指します。

    要員数は現状の5000人を維持しますが、平均人件費を1500万円に増やすことで、より質の高い人材を獲得します。

    その場合の総人件費は5000人 * 1500万円 = 7.5兆円となります。

  3. シナリオC: 効率化と自動化による人件費削減と生産性向上
    このシナリオでは、業務の効率化や自動化を進めることで一人当たりの生産性を向上させ、売上増加を目指します。

    このシナリオでは人件費と要員数の両方を削減することが可能です。

    例えば、業務自動化やAIの活用により要員数を現状の5000人から4000人に減らし、平均人件費も900万円に抑えることを考えます。

    その場合の総人件費は4000人 * 900万円 = 3.6兆円となります。


シナリオを3つ考えてくれ、さらにその考え方を整理してくれていますね。

要員計画の基本は、「要員数」×「生産性(1人あたりアウトカム・アウトプット:売上、利益など)」で、中計・事業計画等のKGI・KPIをどう達成していくか、です。

人を増やすのか、生産性を高めるのかという変数を、戦略や事業の環境変化にあわせて組み合わせ、人事・人材として取りうる施策を考えていきます。

その基本を押さえた出力結果になっています。


確率の高いシナリオを選ぶ

続けてプロンプトしてみます。


妥当なシナリオをきいてみる

損害保険市場の縮小とデジタル化の進行を考慮すると、シナリオC: 効率化と自動化による人件費削減と生産性向上が最も現実的な選択肢と言えるでしょう。

  1. 市場の縮小:
    市場全体が縮小すると、同じ売上を維持するためには市場シェアの拡大が必要になります。

    これは、競争力の強化と効率的な運営が必要となることを意味します。

    効率化と自動化は、同じ出力をより少ないリソースで達成するための手段です。

  2. デジタル化の進行:
    デジタル化は業務の自動化や効率化を実現するためのキーです。

    AIや機械学習を活用すれば、クレーム処理、リスク評価、契約管理などの多くの業務を自動化することが可能です。

    これにより、一人当たりの生産性が向上し、全体としての人件費も削減されます。

ただし、ここで重要なのは、デジタル化や自動化が必要とする投資や人材の確保、そして新たな技術やプロセスを組織に導入するための時間と労力も考慮に入れることです。

その上で、自動化・効率化のメリットがそれらのコストを上回ると判断される場合には、シナリオCが最も現実的な選択肢となります。


ちょっと誘導している感もありますが、まあ妥当なシナリオを選んでくれています。

そして、投資にかかるコストも踏まえて選んでね、ということもリマインドしてくれていますね。

恐らく、ここに自社の状況や既にある前提条件(社長から投資はするなって言われたんだよー、その中で考えうる施策は?など)をインプットしていくことで、より「説明しやすい」ストーリーは出来上がってくるように思われます。

生産性を高める施策をきいてみる

デジタル化と効率化の施策、とありますから、具体的にどんな施策があるのかを聞いてみましょう。



損害保険会社におけるデジタル化・自動化には多数の事例があります。以下に主要な手法をいくつか紹介します。

  1. AIと機械学習を使用したクレーム処理:
    AIは保険請求の審査と処理を自動化するのに非常に効果的です。

    顧客が請求を申し立てると、AIはその請求を評価し、請求が適切かどうかを判断します。

  2. チャットボットと自動顧客対応:
    AIチャットボットは、顧客からの質問に24時間対応し、保険の見積もりを提供したり、請求を受け付けたりすることができます。

    これにより、顧客満足度が向上し、同時に人間のオペレーターが手がける必要がある業務量も減少します。

  3. テレマティクスとIoT:
    車両保険においては、車載デバイスを通じて得られるデータ(運転行動、事故発生時の詳細な情報など)を活用することで、リスク評価をより正確に行うことが可能になります。

    これにより、保険料を個々のリスクプロファイルにより精密に設定することができ、フェアな価格設定を実現します。

  4. ブロックチェーン技術の活用:
    ブロックチェーンは保険契約の管理を自動化し、改ざん防止を図るのに役立ちます。

    スマートコントラクトを利用することで、請求の支払いを自動化し、遅延や誤解を防ぐことが可能になります。

  5. ビッグデータと予測分析:
    ビッグデータと予測分析を活用することで、リスク評価をより精緻に行い、未来の潜在的なリスクを予測し、保険料をより適切に設定することができます。


恐らく大手保険であれば、いずれも検討されているような施策かと思いますが、それでも観点は与えてくれます。

特に自社で上記のようなDXと要員計画を紐づけて考えているときには、施策として不足はないかの検証にも使えそうですね


施策の定量効果も聞いてみる

さて、施策とくればやはりどの程度の効果があるか聞きたくなるところ。



各デジタル化・自動化手法が具体的にどの程度の要員削減効果をもたらすかは、多くの要素に依存します。

これには、現在のオペレーションの効率、デジタル化・自動化の投資規模、実装の成功度合い、そしてその会社のビジネスモデルや戦略などが含まれます。

以下に、それぞれの手法がどのような影響をもたらす可能性があるか、一般的な観点から説明します。

  1. AIと機械学習を使用したクレーム処理:
    AIを活用したクレーム処理の自動化は、保険会社における大きな人員を占めるクレーム処理部門に大きな影響を与える可能性があります。

    成功すれば、要員削減の可能性は高いです。削減の具体的なパーセンテージは様々ですが、10-30%の範囲が見積もられています。

  2. チャットボットと自動顧客対応:
    顧客サービス部門も、人間が行う作業をAIが補完・代替することで効率化が可能です。

    顧客対応要員の一部がAIに取って代わられる可能性があります。

    これによる人員削減の範囲は、会社や業務内容によるが、10-20%の範囲が考えられます。

  3. テレマティクスとIoT:
    これらの技術は直接的な人員削減よりも、リスク評価の精度向上や新たなビジネスモデルへの適応を可能にする点で価値があります。

  4. ブロックチェーン技術の活用:
    ブロックチェーンとスマートコントラクトは、契約管理や請求処理に関わる人員を削減する可能性があります。

    削減効果は、この技術の適用範囲と成功度合いによりますが、10-20%の削減が見込まれます。

  5. ビッグデータと予測分析:
    ビッグデータ分析も直接的な人員削減よりも、保険料の設定やリスク評価の精度向上を可能にし、結果として業績向上に寄与します。


一部ではありますが、幅で効果を出してくれています。

何を根拠に提示しているかは恐らくこの粒度で出力させるのは難しいかと思いますが、もっと具体的に前提を提示すれば精度は高まるものと思います。


物価上昇トレンドも考慮させてみる

さて、DX関連の技術的要素に焦点があたっていましたが、一般的には物価上昇というHRトレンドも重要です。



通常、人件費はインフレ率(物価上昇率)と結びついています。

企業は一般的に、物価上昇に伴う生活費の増加を補償するために、従業員の賃金を調整する傾向があります。

ただし、これは労働市場の需給バランスや交渉力、生産性の変化など、その他の要素によっても影響を受けます。

過去のデータに基づいて物価上昇率を予測すると、先進国では通常、年間1-3%のインフレが見込まれます。

したがって、向こう5年間で5-15%程度の累計物価上昇が考えられるでしょう。

ただし、これはあくまで一般的な推定であり、経済の具体的な状況によってはこれ以上のインフレが発生する可能性もあります。


なるほど、そうすると、シナリオは?



シナリオCでは、デジタル化と自動化を推進し、労働生産性を向上させて人件費を抑制することが主要な戦略となります。

物価上昇による一定の賃金上昇は避けられないかもしれませんが、自動化と効率化により、全体の人件費増加を抑制し、業績を向上させることが可能です。

以下に、シナリオCにおける具体的な要員・人件費計画を提案します:

  1. 要員数の見直し:
    AIと機械学習、チャットボット、ブロックチェーンなどのデジタル化・自動化手法により、業務効率化を実現します。

    一般的な削減率は10-30%ですが、これらの効率化手法を全面的に導入した結果、全要員数の15-20%(750-1000人)の削減を目指すことができるかもしれません。

  2. 人件費の抑制:
    物価上昇による賃金上昇圧力は避けられませんが、自動化と効率化による人員削減効果は、人件費全体の増加を抑制する可能性があります。

    例えば、人員削減による経費節減と物価上昇による人件費の増加が相殺し合い、全体的な人件費は現状維持またはわずかな増加となる可能性があります。

    具体的には、現在の平均人件費1000万円に物価上昇の影響を5年間で10%加えると、2027年の平均人件費は約1100万円となります。

    しかし、人員削減により全体の人件費は一定に抑えられ、5000人から4000人に減らすと、全体の人件費は4.4兆円になります。

    これは現在の5兆円から比べて12%の削減となります。


という感じで、一発で精緻なものを出してもらうというよりは、AIに出力させながら、自分が気になるところをどんどん突っ込んでいくことによって、自身の考えやドラフト策定のインプットになる、という位置づけが正しい使い方ですね。

そういう意味では、質問力が使いこなしにおいて重要だと思われます。


若手・中堅層向けの強化ギプスとしての生成AI

この手の専門家やエキスパート、はたまた経験の多い方からすると、まだまだ荒い出力結果かと思いますが、初めて要員計画に携わる方、経験の浅い方にとっては、かなりのアウトプット強化ツールになるのではないでしょうか?

なお、筆者は上記の出力を10-15分程度でできました。

特に近年HRBPを強化している企業が多い中で、ビジネスとHRの両面から検討しなければならないものの、どちらかの経験が浅い方は多いと思います。

そういった方々は、「自身の頭の整理」と「スピードアップ」にAIを使いこなしていただくのがよいかと思います。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

自社で、要員計画、生成AI関連の検討にお悩みの方は、お気軽にお問合せくださいませ。

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