
「ROSÉCOLOR」のアレンジを中山美穂さんver.とCINDYさんver.で比較してみた
今回はCINDYさんが制作された中山美穂さんの楽曲「ROSÉCOLOR」の
・中山美穂さん オリジナルver.
・CINDYさん セルフカバーver.
のアレンジを比較していきたいと思います!

作詞:康珍化さん
作曲:CINDYさん
です!
楽曲としての「ROSÉCOLOR」は、
「"転調が多く、分数コードが多い"という南米系AORの手法を用いて制作されたメロウなバラード」
なのですが、
中山さんver.とCINDYさんver.は表現しようとしている雰囲気が結構異なるので、その部分も含めて解説していきたいです!
それでは本編に移ります!
・中山美穂さんver.の「ROSÉCOLOR」

アレンジは鳥山雄司さんが
担当されています。
中山さんver.は「1989年春の資生堂 ロゼカラーリップ CMソング」としてリリースされました。
(この時期の化粧品CMソングは今井美樹さんの「彼女と TIP ON DUO」など、名曲が多いです。)
こちらのver.は「サウンドがAOR調なのに、節回しや歌詞が歌謡曲っぽい」ところが魅力的だと思います。
抑揚の少ないメロディラインとAORサウンドに対して、揺らぎのある歌声とストレートな日本詞なので、シティポップとかとはまた違うニュアンスのメロウさがありますね。
サウンド面では、YAMAHA DX7の硬い音のエレピを基調にボサノバ調のシンセなど様々な音色を駆使されてアレンジされています。鳥山さんらしさ全開のシンセサウンドですね。
加えて、打ち込みのドラムや暖かみのあるフレットレスベースなどがメロウで優しい雰囲気を作り上げています。エレキギターは本当に最低限の重要な箇所にしか入っていません。
コード的にはイントロは半音階進行で、本編では黒鍵コードや7thコードが多用されている上に、augコードなどの不協和音コードが使われていて、転調も非常に多いです。
僕も初めて聴いたとき「歌謡曲でこんなコード使われるんだ!?」と思いました。
揺らぎのある歌声を含めて包み込まれるようなサウンドですね。
雰囲気としては、美しさやロマンティックさを中心に表現されています。
・CINDYさんver.の「Rose Color」

アレンジは鳴海寛さん(東北新幹線)
と
氷室昌之さん
が担当されています。
CINDYさんver.は1991年にアルバム「Don't be afraid」に「Rose Color」のタイトルで収録されました。
こちらのver.は全体的に歌の節回しが洋楽っぽくなっていて、フェイクも多用されています。CINDYさんの声の伸びやリズム感が超人的です、、
最大の特徴はサビの歌詞が「♪感じる薔薇にして〜」から「♪Baby you're the falling star that's in my eyes〜」と英詞になっている点ですね。
※恐らく「中山さんver.は化粧品のタイアップソングだからサビが日本語になった」or「CINDYさん側のディレクターの鎌田俊哉さんがサビ英語にしよう!って提案した」のどちらかだと思われます。
サウンド面では、硬いエレピが基調となっているものの、リズムの進行パターンが異なっていたり、ボサノバ調のガットギター(恐らく鳴海さんがガットギターの名手なため)、管楽器っぽいシンセが入っているなどの変化があります。
また、サビの分厚いコーラスは完全に鳴海さんの手によるものだと思われます。
イントロも半音階進行ではなく、黒鍵ルートのコード中心のループになっています。
中山さんver.より遥かに7thコードや不協和音コードが多く、ほぼ7thコードのみで作られています。
セクションごとにメジャー7th中心のパートとマイナー7th中心のパートがハッキリ別れていて面白いです。
雰囲気的にも本格的なボサノバAORになっているので、鳴海さんがやられていたユニット「東北新幹線」のアルバムに収録されていそうですね。
これがCINDYさんがイメージされていた本来の「ROSÉCOLOR」の形なのかもしれません。
余談:井上鑑さんのアレンジver.について
「ROSÉCOLOR」は、キーボーディストの井上鑑さんがWOWOWでやられていた「ザ・レコーディング」という番組でも演奏されています。曲のアレンジは井上さんが担当されていました。
このver.はエレキギターが全面にフューチャーされていて、シンセサイザーとエレキギターの2つの楽器で曲を引っ張るようなアレンジになっています。音の厚みがしっかりあって結構ロック要素の強いサウンドですね。
ボーカルのCHAKAさんの透明感のある高い歌声もこの曲にマッチしています。
また、ドラムのリズム譜や進行パターンを結構アレンジされていて、手数フレーズも多めです。
機材トラブルなのかドラムの音の重さを軽めに録音されてしまった村上ポンタ秀一さんは不満そうでした。。
僕は「このver.も音源化されてればな〜」と思っています。。
まとめ
・「ROSÉCOLOR」はバージョンごとにかなりサウンドの方向性や雰囲気が異なる