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ヴィジュアル系と昭和歌謡 ② 「SUGIZOさんのSUPER LOVEという楽曲の凄さ」
今回は連載企画
【ヴィジュアル系と昭和歌謡】
の第2弾です!
前回の第1弾
「絶唱型〜V系歌唱への変遇について考える」
がおかげさまで公開2週間で45000ビューを記録した大ヒット記事になったので、
「今年はこれを超える作品を書かなければいけない…」
という気持ちになっています!
そんな【ヴィジュアル系と昭和歌謡】第2回のテーマは、
「SUGIZOさんのSUPER LOVEという曲の凄さ」
です!
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「SUPER LOVE」
この「SUPER LOVE」は、LUNA SEAファンやヴィジュアル系ファンの間だと、「面白ソング」「あの伝説のSUPER LOVE…」のような扱いをされることも多々あります。
しかし、様々な観点から見ると、
"昭和歌謡のテイストがしっかり入っている上で、ヴィジュアル系界における「昭和歌謡×R&B」の最高到達点"
という凄まじい作品となっています。
そのため、今回は
・SUPER LOVEを構成する要素
・SUPER LOVEがリスナーにビックリされてしまった要因
・"歌謡曲系"の先駆者としてのSUPER LOVE
などの事柄について綴っていきたいと思います!
◯SUGIZOさんの「SUPER LOVE」という楽曲の凄さ
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「SUPER LOVE」
2002年8月21日リリース
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SUGIZOさんの25周年LIVEグッズ
「SUPER LOVE アクリルスタンド」
(妹の机に飾っています)
そもそも「SUPER LOVE」とは?
「SUPER LOVE」は2002年8月21日にリリースされたSUGIZO&THE SPANK YOUR JUICEによる楽曲です。生バンドによるファンキーな楽曲となっています。
当時のSUGIZOさんは、LUNA SEAが終幕した後、ソロ活動を再開する際に
「プリンス&ザ・レヴォリューションのようなバンド形態で、LUNA SEAで表現出来なかったR&B/ファンク/ソウルを前面に押し出した表現をしたい」
という意向で、SUGIZO&THE SPANK YOUR JUICEというバンド形態で音楽活動をされていました。
(2003年のイラク戦争がきっかけでアルバム「C:LEAR」のような"メッセージ性の強いオルタナ路線"に入るまではこの方向性でした。)
SUGIZOさんはラジオにて
「SUPER LOVEは、子供の頃一番最初に好きになったアーティストである沢田研二さん(昭和歌謡)、バート・バカラックさんやアントニオ・カルロス・ジョビンさん(共にイージーリスニング)あたりまでルーツを遡って、
歌謡曲とフィラデルフィア・ソウルを融合させようとして作った楽曲」
と仰っていました。
度々SUGIZOさんは
「沢田さんのメイク/ヴィジュアルや、バカラックさんのメロディセンスに大いに影響を受けた」
と語られているので、それをもとに
「プリンス&ザ・レヴォリューションを模したバンドで歌謡曲×フィラデルフィア・ソウルを表現したのがSUPER LOVE
(勿論ロックは根幹にある)」
なのだと思われます。
「SUPER LOVE」を構成する2大要素
そのため、「SUPER LOVE」を構成する2大要素は、
・昭和歌謡
・R&B
であると考えられます。
前者に関しては、
・耳に残りやすい歌謡曲メロディ
・ストレートな歌い方
・直球なラブソングである歌詞
・AメロBメロサビという分かりやすい楽曲構成
などの点に影響が見られます。
また、後者に関しては、
・フィラデルフィア・ソウルのようなストリングスやブラス
(ブラスセクションは東京スカパラダイスオーケストラが担当)
・ファンキーなカッティングギターやベース
(ベースもSUGIZOさんが演奏。この時期〜The FLAREでは、ベースもSUGIZOさんが演奏されている楽曲が多く、この点もプリンスさんの影響なのではないかと思われます。)
などに点に影響が見られます。
ですが、ギターに関してはかなりSUGIZOさん節が発揮されていて、ギターソロはSUGIZOさん節120%な上、音色は「KISS」、フレーズは「BLACK AND BLUE」に近い部分もあります。
また、本楽曲のヴィジュアルプロデュースやMV監督は、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんが担当されています。
そのため、ヴィジュアル面やMVでは、小西さんのセンスが存分に発揮されていて、
・歌謡曲のスターのようなハット/ワインレッドシャツ/白スーツの衣装
・カーティス・メイフィールドさん の「Superfly」をオマージュしたタイトルロゴ
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・MVにザ・スプリームスのようなコーラス隊が登場する
・MVでのプリンスさんのようなダンス
などが印象的です。
これら全てに昭和歌謡とR&Bからの影響が見られますね。
※この「小西康陽さんがヴィジュアルプロデュースやMV監督を務められている」という点は、
「ヴィジュアル系とサブカルチャー」
を研究する上で、重要なキーパーソンであると考えられます。
「SUPER LOVE」がリスナーにビックリされてしまった要因
「SUPER LOVE」は、リリース当時から今に至るまでLUNA SEAファンやヴィジュアル系ファンに衝撃を与え続けてきました。正直一部では"面白ソング"のような扱いをされていたりもします。
恐らくその理由としては、この曲をリリースするまでは、
「耽美なアーティスト/ロックなことをやっているアーティスト/孤高のギタリスト」
のようなイメージだったSUGIZOさんが、
「急に白スーツを着て踊りながらファンキーな歌謡曲を歌ったこと」
にあると思います。
SUGIZOさんは「LUNA SEAでは出来なかった表現を!」とこの曲を作られましたが、急に今までのイメージと180度違うアプローチをされたので、当時のリスナーはとても衝撃的だったと考えられます。
個人的には、この「SUPER LOVE」を僕の大好きな東山紀之さんや、及川光博さんがリリースされた場合、お二方のイメージ的に世間も全く驚かなかったと思うのですが……。
本当に「曲は凄く良いけど、SUGIZOさんが突然今までのイメージと全然違う楽曲をリリースしたから驚かれてしまった」という面が強いと思います。
"歌謡曲系"の先駆者として「SUPER LOVE」
実は「SUPER LOVE」のちょっと後くらいから、ヴィジュアル系シーンでは、いわゆる"歌謡曲系"と呼ばれる「昭和歌謡テイストの楽曲を歌うバンド」が多数登場します。
そう考えると「SUPER LOVE」は
「メジャーレーベル/メジャーシーンで昭和歌謡テイスト強めな楽曲をやっていた」
という点では、"歌謡曲系"の先駆者だったのかもしれません。
また、"歌謡曲系"のバンドの楽曲は、
・"純"昭和歌謡×ロック
・昭和歌謡×ラウドロック
が多く、
・昭和歌謡×R&B
を表現しているヴィジュアル系の楽曲は、ほぼ「SUPER LOVE」くらいしかありません。
そのため、V系に大事な要素である"他と被らない"という点では、「SUPER LOVE」のひとり勝ち状態でもあります。
(実はV系ではなくアングラ系のアーティストには昭和歌謡×R&Bを表現されている方が結構居たりします…。)
もしかしたら、
「昭和歌謡×R&Bなヴィジュアル系の楽曲で、一番有名な楽曲かつ最高到達点」
は、未だに「SUPER LOVE」なのかもしれません。。。
更に、「SUPER LOVE」が一番"歌謡曲系"の先駆者だと思われる点は、今ほど
「ヴィジュアル系バンドが昭和歌謡テイストの楽曲を作った時、スーツを着て、昭和の歌番組風のセットでMVを撮る」
ということをしていなかった時代から、その手法を用いていたことです。
恐らく1990年代後半〜2000年代前半のメジャーシーンのヴィジュアル系でその手法を用いていたのは、「SUPER LOVE」と(楽曲は昭和歌謡テイストでは無いですが)SOPHIAの「黒いブーツ」くらいだと思われます。
↓近年のヴィジュアル系の昭和歌謡テイストの楽曲では、スーツを着て、昭和の歌番組風のセットでMVを撮ることが一般的となっています。
「SUPER LOVE」のアレンジver.について
実は「SUPER LOVE」には3種類アレンジver.があるので、この機会にご紹介させて頂きたいと思います。
①「SUPER LOVE 2012 feat. COLDFEET」
こちらは音楽ユニット「COLDFEET」をゲストに迎え、エレクトロなハウストラックに生まれ変わった「SUPER LOVE」です。
曲構成には変更がありませんが、歌詞が英語になっています。間奏のギターソロ×サックスソロも印象的です。
②「SUPER LOVE (2022mix)」
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「THE COMPLETE SINGLE COLLECTION」
2022年11月23日リリース
こちらはSUGIZOさんのベストアルバム収録にあたり、当時のマルチトラックをもとに新たにミックスをやり直した「SUPER LOVE」となります。
全体の音をまとめたようなオリジナルver.と比べると、SUGIZOさんのボーカルにオートチューンがかかっていたり、ベースの位置が変わったり、ギターの音量が控えめになったりと、トラックがSUGIZOさんのボーカルを包み込むようなミックスとなられています。
③「SUPER LOVE 2024 (feat. Chloe)」
こちらは最近リリースされた「SUPER LOVE」のアレンジver.です。今年リリース予定のSUGIZOさんの女性ヴォーカル・コンピレーション・アルバム「ONENESS F」のリードトラックとなっています。
演奏陣には、バンド「パジャマで海なんかいかない」からボーカルのChloeさんとピアノの別所和洋さん、サックスにはパトリック・バートリーさん、そしてベースには2012 ver.にも参加されたCOLDFEETのWatusiさんが参加されています。
このアレンジは、2012 ver.を更にブラッシュアップされていて、南米のラテンハウスのようなアレンジに仕上がっています。
まとめ
・「SUPER LOVE」はSUGIZOさんが子供の頃に親しまれた「昭和歌謡」と「R&B」を融合させた楽曲である
・特にヴィジュアル面において、ヴィジュアル系における"歌謡曲系"の先駆者的な存在かもしれない
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